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出口治明の提言:日本の優先順位
【第14回】 2011年7月12日
著者・コラム紹介バックナンバー
出口治明 [ライフネット生命保険(株)代表取締役会長]

「景気がよくなるまで増税は控えるべき」は
俗説に過ぎない

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 政府は、7月1日、社会保障・税一体改革成案をまとめ、閣議報告を行った。本文が15ページ、別紙1が1ページ、別紙2が7ページ、別紙3が4ページと全体でもわずか27ページしかないので、まずは一読してほしい。何事にもよらず批判する前には、その大前提として相手の言い分を虚心坦懐に聴く必要があることは言うまでもあるまい。

社会保障と税は
なぜ一体改革が必要なのか

 ところで、なぜ社会保障と税の「一体改革」が必要なのか、最初にわが国の財政の現状を確認しておこう。今年度の一般会計予算92兆円のうち税収はわずか41兆円しかない。実に44兆円を将来世代の負担となる借金(公債金収入)に依存せざるを得ない異常事態となっている。

 加えて668兆円の公債残高があり国の借金のレベルとして世界最悪であることは周知の通りである。

 次に92兆円の内訳(使途)を見ると、国債費が22兆円、地方交付税等が17兆円あって、これらは政府の裁量の余地がないので、実際に政府が動かせるお金は実は残りの53兆円しかない。その中で社会保障関係費が29兆円を占めている。その次は文教及び科学振興費の6兆円、公共事業関係費の5兆円、防衛関係費の5兆円が主なものであるから、社会保障関係費の突出振りは明らかであろう。

 しかも社会保障関係費は他の経費と異なり、わが国の少子高齢化に伴って年々確実に肥大していく。過去20年間で歳出はおよそ200兆円弱増加したが、その内150兆円程度は社会保障関係費が占めている。この一事をとっても、社会保障関係費をどうコントロールするかという問題が死命を制するのは明らかであろう。

 要するにわが国の財政の現状を一言で表現すれば「収入(税収)と支出(社会保障関係費)のバランスが崩れている」もしくは「収入の割には社会保障給付に使い過ぎている」ということなのだ。これが社会保障・税の一体改革が必要とされる所以である。

この日本の情況を
「外」からみればどう見えるのか

 人間は自分の姿が一番良く見えない動物である。自分の姿を見るためには、他人に見てもらうことが一番である。これは国や社会、企業についても等しく当てはまる真理であろう。では、外から見たわが国の財政の現状はどうか。

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出口治明 [ライフネット生命保険(株)代表取締役会長]

1948年、三重県美杉村生まれ。上野高校、京都大学法学部を卒業。1972年、日本生命保険相互会社入社。企画部や財務企画部にて経営企画を担当。生命保険協会の初代財務企画専門委員会委員長として、金融制度改革・保険業法の改正に従事。ロンドン現地法人社長、国際業務部長などを経て同社を退職。その後、東京大学総長室アドバイザー、早稲田大学大学院講師などを務める。2006年にネットライフ企画株式会社設立、代表取締役就任。2008年に生命保険業免許取得に伴い、ライフネット生命保険株式会社に社名を変更、同社代表取締役社長に就任。2013年6月24日より現職。主な著書に『百年たっても後悔しない仕事のやり方』『生命保険はだれのものか』『直球勝負の会社』(以上、ダイヤモンド社)、『生命保険入門 新版』(岩波書店)、『「思考軸」をつくれ』(英治出版)、『ライフネット生命社長の常識破りの思考法』(日本能率協会マネジメントセンター)がある。

ライフネット生命HP

 


出口治明の提言:日本の優先順位

東日本大地震による被害は未曾有のものであり、日本はいま戦後最大の試練を迎えている。被災した人の生活、原発事故への対応、電力不足への対応……。これら社会全体としてやるべき課題は山積だ。この状況下で、いま何を優先すべきか。ライフネット生命の会長兼CEOであり、卓越した国際的視野と歴史観をもつ出口治明氏が、いま日本が抱える問題の本質とその解決策を語る。

「出口治明の提言:日本の優先順位」

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