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田村耕太郎の「坂の上に雲はない!」

日本人は米国破綻よりも格付け会社改革を心配せよ
“問題先送り政府”に物申す審判がいなくなる?

田村耕太郎
【第22回】 2011年7月21日
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結果は見えているチキンゲーム

 日本では識者や財界の間で「アメリカの債務上限引き上げ」について懸念と注目が広がっているようだ。“ついにアメリカ破たんか”と騒ぐ識者のブログや論説をネット上でも目にする。

 もちろん、その懸念もわかる。バンカメの財務担当役員が「アメリカ破たんの準備はできている」とツイッター上でつぶやき、これが経済専門チャネルCNBCでセンセーショナルに取り上げられていた。

 とはいえ、私の肌感覚で行けば、こちらアメリカでは騒ぎの好きなメディア以外では識者も財界人も本音では皆白けている。理由は、結果がわかっているからだ。

 ホワイトハウスと議会が勝負の見えた”根性比べ”をやっているだけだからである。本気で政府を閉鎖に陥れてまでパフォーマンスをやる政治家も官僚もいない。アメリカ財政を破たんさせてまで何らかの果実を得られる者は、責任ある立場ではいない。よって、結果は“債務上限引き上げで決まり”とみているのだ。8月2日で「アメリカ破綻」なんて、趣味の悪いホラー映画を本気で怖がって見ている市場関係者は一人もいない。もし本当に破たんを想定しているなら、7月下旬に入った今、米国債の金利はすでに暴騰しているだろう。

 逆に識者や市場関係者が本気で心配しているのは、“格付け会社の行方”である。失敗から学び、EUや米国政府を敵に回す覚悟で勇気を持って警告を発し続けている格付け会社。彼らが正確な格付けを出し続けられるか否かが焦点になっている。

動機不純で寡占状態

 彼らも過去には大きな過ちを繰り返した。

 昨今のバブル崩壊の裏には、「1年以上前から企業や商品の問題性をわかっていながら的確な格付けで警告を発することをしなかった」格付け会社の責任は大きいと思う。「格付けは単なる意見である」と開き直った格付け会社トップたちの議会証言をみて、はらわたが煮えくり返り、各国政府が何らかの制裁を考える気持ちもわかる。

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田村耕太郎

エール大学、ハーバード大学元研究員。
世界で最も多くのノーベル賞受賞者を輩出したシンクタンク、ランド研究所にて唯一の日本人研究員を務めた。新日本海新聞社相談役。前大阪日日新聞代表取締役社長。国立シンガポール大学公共政策大学院元研究員。
‘02年から‘10年まで2期参議院議員を務める。その間、内閣府大臣政務官(経済財政・金融・地方分権・再チャレンジ各担当)、参議院国土交通委員長を歴任。
著書には『君は、世界を迎え撃つ準備ができているか?』『君は、こんなワクワクする世界を見ずに死ねるか!?』などがある。

 

 


田村耕太郎の「坂の上に雲はない!」

欧米だ、シンガポールだ、韓国だ、中国だ、そんなことを言っても、キャッチアップのモデルはもはや世界に存在しない。日本は日本の現状に合わせて自らをモデルチェンジするしかない。坂の上にもはや雲はない!

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