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美人のもと

初対面

西村ヤスロウ [広告プランナー]
【第107回】 2011年7月25日
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 人生は出会いと別れの連続だ。特に春になるとそれを実感する。コミュニケーションの発達により「出会い」の機会は増え、「別れ」は小さなものになりつつある。

 初対面の作法に注目したい。いったい1年で何回の「はじめまして」があるのだろう。そんな数々の「はじめまして」が美人はとてもうまい。初対面における態度が気持いいのだ。

 一言で言えば、距離感である。適度な距離感は「美人のもと」を生むのではないか。ほどよく近く、仲良くなろうという気が伝わってくる距離を保つ。相手の態度を見て、相手が快適に思う距離を読んでいる。次に会ったときにはその距離が縮まることに期待したくなる気のつくりかたがうまい。

 もちろん初対面で今後とも仲良くしようと思っているのにあえて距離をつくろうとしている態度は問題があるし、「感じが悪い」印象しか与えない。しかし、そればかり気にしていて必要以上に距離を近くしてしまうことこそが危険である。

 近すぎる態度は「美人のもと」を失っていくはずだ。

 いきなりあだ名を使い始める。さっき知ったあだ名を。呼び捨てで。しかもそのあだ名は意外と本人は不本意に思っていることが多い。

 聞いてもいないのに、誰かとの友情を語り始める。どうでもいいのに、仲の良さを強調する。「親友」が多くいる。

 物理的にも近くに立つ。そして気づけば袖あたりを掴んで甘えたように振る。こちらが距離を取ろうとしても追いかけてくる感じ。

 そして「負の空気」を吹きかけてくる。いきなり「つらくないですか」と悲しい投げかけから始まる。さっきまで笑顔だったのに、「美人のもと」を捨てていくような、歪んだ悲しい表情。

 この手段は、時々ニュースショーやワイドショーでも使われる。視聴者の不平不満を先頭切って言い始める。一緒に溜息をつけば仲良くなれるという作戦。人々が文句を言いそうな話題が大好物だ。そこにいない人の悪口を言って団結を深めようとする雰囲気の悪い井戸端会議のやり口と同じである。

 少なくとも初対面で、そんな作戦を展開されても、反応のしようもない。

 会った時から気持ちいい。その気持ちよさこそ「美人のもと」なのではないだろうか。


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西村ヤスロウ [広告プランナー]

1962年生まれ。プランナー。趣味は人間観察。著書に『Are You Yellow Monkey?』『しぐさの解読 彼女はなぜフグになるのか』などがある。


美人のもと

『経』に好評連載中の西村ヤスロウ氏によるエッセイ。「美人のもと」とは、女性なら誰しも持っているもの、「美人のもと」を磨き続けるためのコツを解き明かす。

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