今年3月に協議入りが明らかになった東京証券取引所と大阪証券取引所の統合交渉。スピード感を持って話をまとめると明言していただけに、いまだになんの結論も出てこないとあって難航すら疑わせる。世界の取引所再編が加速するなか、今回チャンスを逃せば、二度と日本の証券市場は浮上できないかもしれない。
Photo:REUTERS/Kim Kyung Hoon/AFLO(左)
Photo:JIJI(右)
その日は結局、何事もなかったかのように過ぎ去った。
7月26日。東京証券取引所と大阪証券取引所の定例取締役会がちょうど重なったこの日、東証の斉藤惇社長と、大証の米田道生社長は同じテーマで会見し、ある重要な発表を行う“予定”だった。
その内容とは、今年3月以降、合同でワーキンググループまで設置し、詳細を詰めてきた両社の統合である。主要メンバーはギリギリまで休み返上で奔走し、新会社の最終形も固めた。監督官庁の金融庁への報告と、公正取引委員会との折衝を除けば、あとは両トップが決断を下すだけという段階まで来ていた。
ところがである。この日、そうした会見は開かれず、統合について両首脳は「現時点で話せることはなにもない」と繰り返すばかりだった。
これには記者団からも質問が殺到。「何がネックになっているのか」「いつ決まるのか」と、協議の難航を疑う声が多数寄せられた。それもそのはず、大証側が当初から、「やるなら3ヵ月でまとめる」と明言、6月中の発表を予定していたからだ。
これに対し斉藤社長は、「交渉は難航していない」と反論はしながらも、「具体的にいつまでに結論を出すという類いの話ではない」とお茶を濁すばかり。米田社長からも、「協議期間にはロスタイムもある」と、半ば言い訳じみた発言すら飛び出す始末だった。
だが水面下では、確かにこの日に発表の期限を再設定して動いてきた。しかし結論は間に合わず、またも“幻”に終わったのだ。