佳食漫遊!ニッポンの郷土料理
【第3回】 2011年8月3日 橋本裕之

ひつまぶし――香ばしいうなぎの3つの味わいを楽しむ「大人の贅沢」

 夏と言えばうなぎ! 特に『土用の丑の日』とでも聞けば、「うなぎを食べなきゃ」という気持ちにかられる人は少なくないだろう。

 夏の『土用の丑の日』は暦の上で、夏の土用の間、つまり立秋の前までの期間(2011年は7月20日~8月7日が夏の土用)のうち、十二支の丑にあたる日のことを指す。夏の土用の丑の日は、年に1日か2日あり、今年は一回目の丑が7月21日、二回目の丑が8月2日にあたった。

 この『土用の丑の日』にうなぎを食べるという食習慣は、江戸時代の学者・平賀源内が発案したというのが定説となっているが、夏にうなぎをたべるという習慣は、さらに過去へさかのぼり、奈良時代の『万葉集』に大伴家持のうなぎを詠った歌がでてくる。古より、日本の夏の食卓で、うなぎが親しまれてきたのが分かる。

関東は背から開き蒸して焼き、
関西は腹から開き直に焼く

白焼きはみりんで味付けして、ほんのりとした上品な甘さ。わさびと白しょうゆを添えて。

 当時から、うなぎは暑い季節の滋養食として有り難がられてきたわけだが、実際にうなぎはビタミンA・B群がとても豊富だ。特にビタミンAが多く含まれており、高タンパクで消化もよく、まさに夏バテ防止、食欲増進が大いに期待できる食材だ。

 そんな、日本人に愛されるうなぎの食べ方であるが、関東は背中から開き、一旦、白焼きにして蒸してからタレで焼き上げる「江戸焼き」などといわれる焼き方が主流で、ふわっとした上品な味わいが特長だ。

 江戸前の美味しいうなぎ屋のうなぎは、口内に入れた瞬間にふわふわとうなぎの身がほころび、それがタレの風味とマッチして、なんとも言えない瞬間が訪れ、思わず顔がほころんでしまう。

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橋本裕之

飲食店から蔵元訪問など、豊富な食べ飲み歩きの経験から、出版やWEBなどで、食と酒をテーマにした編集やライティングに関わる。過去の執筆に『dancyu』(プレジデント社)、『本格焼酎ぐびなび』(誠Style)など。SSI認定焼酎アドバイザー。ティーコンシェルジュ2級。


佳食漫遊!ニッポンの郷土料理

土地々々の風土に磨かれ、伝え継がれてきた日本の郷土料理を、料理の歴史や地域の慣習などを交えて紹介。その素晴らしさ、味わい深さを再確認していただければ幸いです。

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