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香山リカの「こころの復興」で大切なこと
【第15回】 2011年8月5日
著者・コラム紹介バックナンバー
香山リカ [精神科医、立教大学現代心理学部教授]

「支援の和」を支えるために、
いま必要なのは「認め合う和」

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支援に行った人だけでなく
残った人もたいへんな思いをしている

 震災支援で職場の誰かが被災地に行く。被災地に家族が住む間接的な被災者がいて、帰省するために職場を離れる。そうした場合、残った人はその人たちの仕事を引き受けることになります。

 たとえば保健師さん。それまで5人で500世帯を担当していたとします。1人当たりの担当は100世帯です。仮に2人の保健師さんが被災地に行ったとすると、200世帯を残った3人でカバーする必要に迫られます。

 もちろん、被災地で過酷な状況に直面しながら働く方々は、たいへんなご苦労をされたと思います。しかしながら、残った人たちも普段よりもはるかにたいへんな思いをされたと思うのです。

 震災支援に人を出している自治体、病院などに行くとき、私は被災地から戻った人だけではなく、残った人にも話をお聞きするようにしています。

 「たいへんでしたね」

 私の問いかけに対して、最初は「いえ、私は被災地に行っていませんから……」と言葉を濁す方が非常に多い。何度か尋ねて、ようやく重い口を開いてくださいます。

 「実はたいへんだったんです。私もずっと休みが取れなくて」

 残った人たちは、被災した方や支援する方に対して「たいへんだな」「気の毒だな」「頑張ってほしいな」という感情をお持ちです。これは嘘偽りのないものだと思います。

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香山リカ [精神科医、立教大学現代心理学部教授]

1960年北海道札幌市生まれ。東京医科大学卒業。豊富な臨床経験を生かし、現代人の心の問題のほか、政治・社会評論、サブカルチャー批評など幅広いジャンルで活躍する。著書に『しがみつかない生き方』『親子という病』など多数。


香山リカの「こころの復興」で大切なこと

震災によって多くの人が衝撃的な体験をし、その傷はいまだ癒されていない。いまなお不安感に苛まれている人。余震や原発事故処理の経過などに神経を尖らせている人。無気力感が続いている人。また、普段以上に張り切っている人。その反応はまちまちだが、現実をはるかに超えた経験をしたことで、多く人が異常事態への反応を示しているのではないだろうか。この連載では、精神科医の香山リカさんが、「こころの異変」にどのように対応し「こころの復興」の上で大切なことは何かについて語る。

「香山リカの「こころの復興」で大切なこと」

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