
若い頃より体力などが落ちてくる50代では、それまでのライフスタイルをシフトチェンジする必要がある。経営コンサルタントの藤井孝一氏は、50代からの人生のダウンサイジングをすすめる。定年退職後を見据えた豊かな生き方のコツとは。本稿は、藤井孝一『50代がうまくいく人の戦略書 仕事、人間関係、生活を「シフトチェンジ」する方法』((三笠書房)の一部を抜粋・編集したものです。
自由にアクティブに動き回るため
生活をダウンサイジングする
40代までの人生は、仕事もプライベートものぼり調子です。
仕事のスキルはどんどん高まり、人脈も増え、会社でも昇進や昇格を経験します。それに伴って、所得も増えていきます。子育てをしている人は、子供の成長する姿に感動する機会がたびたびあることでしょう。
必要に迫られて家を購入したりクルマを手に入れたりするなど、持ち物もどんどん増えていきます。モノを所有することが喜びの1つであり、それを手にするために所得を上げることが大きなモチベーションになる時期でもあります。
しかし、そんなのぼり調子の日々は、50歳くらいで頭打ちを迎えるのが一般的です。
たとえば、子供が自立して家を出ると、大きな家は持てあますようになります。クルマもミニバンなどのファミリーカーではなく、燃費がいい軽自動車やコンパクトカーで十分です。60歳になれば、所得も減少していきます。
ライフステージが子育てから介護へと移行し、親を失う経験などを経て、死生観や人生観にも変化が生じます。
「一生懸命頑張って出世してお金を稼ぎ、モノを増やしていこう」
という意識から、
「これまで頑張って手にしてきたものを少しずつ手放して、身軽になっていこう」
という意識にシフトチェンジしていくのです。
私自身、40代までは「利益を伸ばして会社を大きくしたい」「社員を増やしたい」などと思い、会社経営に情熱を注いでいました。しかし、50代からは人生のダウンサイジングを強く意識するようになりました。
いろいろなものを削っていった結果、今は食事や睡眠、筋トレなどの健康や社会貢献、人間関係などに意識が向いています。贅沢をしなければ、そんなにお金はいらないとも考えるようにもなっています。
ダウンサイジングは、悲しいことでも悪いことでもありません。
むしろもっと自由にアクティブに動き回るために、身軽になるのです。春になって冬服を脱ぎ捨てるようなものです。ポジティブに受け止めればいいのです。