
人から深刻な相談を受けたとき、親身に傾聴することだけが正解ではないらしい。メンタルヘルス・コンサルタントの船見敏子氏が、実体験から学んだ“ちょうどいい悩みの聴き方”を解説する。 ※本稿は、船見敏子『結局、いいかげんな人ほどうまくいく 先入観を捨ててより良く生きるための60の習慣』(PHP研究所)の一部を抜粋・編集したものです。
相談者からの深刻な悩みは
どのように聴くべきなのか
カウンセラーの仕事は、相談者の悩みに寄り添うこと。どんな内容でも共感しながら受け止めなければいけない。
カウンセラー養成講座で繰り返し、そう教わってきました。ところが、その教えを守らない先輩がいたではありませんか。
現場に出てまだ日が浅かったころのこと。電話相談の仕事で、とても優秀で相談者からの信頼も厚い先輩と一緒になりました。どんなカウンセリングをするのか勉強させてもらおうと、私はやる気満々で席に着いていました。
電話が鳴り、その先輩が取りました。私はすかさず聴き耳を立てます。
先輩は、真剣にあいづちを打ちながら聴いています。やっぱり、どんな内容でもこうやって受け止めながら聴くのだな。あいづちの打ち方が深いなどと感心しながら聞いていたら、なんと先輩が突然、大笑いしだしたのです。
「アハハ!ええっ、何それ?アハハハハ」
そんな調子で笑い続け、やがてカウンセリングはなごやかに終了しました。
笑って大丈夫なのか、おそるおそる尋ねると、
「だって、こちらも一緒に深刻になったら何も解決しないでしょ?」