本当はツッコみたいけれど
場を盛り上げるために役割を守る

松本 あの番組は出演者のチームワークが抜群でした。サッカーでいえば僕はスウィーパー。ゴールを守り、皆のフォローをする役です。釈由美子さんが得点を取るフォワード、攻撃と防御の両方を担うミッドフィルダーがパックンです。お二人ともプロとして、役割を完璧に全うされていました。

 僕は関西人で、本当は絶好のツッコミどころと思ったらツッコミたいんですよ。でもあのときは我慢して(笑)。とにかくいつも視聴者の視点で、ここはゲストのツッコミが冴えるように、自分がボケることを求められている、などと、ゲストを中心とした最大の盛り上がりのために、「今何を求められているか」を考えながら司会をしていました。

 番組が始まった当初は本当に英語がわからなくて、わからないことを素直に質問していればそれで良かったんです。でも、長く番組をやっていると、最後はうっかり聞き取れるようになってしまって。いやいや、いまのはわからなかったぞと自分に言い聞かせたり(笑)。

秋山 「英語でしゃべらナイト」では松本さんもタレントのようにキャラクターが目立っていました。一方で、司会進行に徹し、キャラクターを出さないことが求められる番組もあると思います。難しいテーマの真面目な報道番組に出られることもありますが、そのギャップはどうされるのですか。

松本 基本的にしなければならないことは同じなんです。黒いスーツを来て、その場に入れば、そういう「真面目なNHKの人」になれますから。そのときのテーマが何であれ、僕は記者やその場に呼ばれた専門家のようにはそのことについて熟知していない。でも知らないことは問題ではないんです。その場における自分の役割を認識し、それを周りと共有できていることが大事なんです。

 そのときは、一般の視聴者代表として、わからないことを聞く係になる。記者や専門家だけで、専門用語を使った議論をすると視聴者に伝わらないので、「それはこういうことですか」と確認して、噛み砕くのが僕の役割ですね。

 周りや視聴者が一番困るのは、その人がどういう立場でそこにいるのかわからない、ということです。立ち位置を決める、役割を認識することで番組に適切に貢献できます。周囲も視聴者も僕の役割が明確であれば、「英語でしゃべらナイト」の松本だ、と思ったとしても、違和感なく見てくれます。