ビジネスのプロは
場に合わせて役割を切り替える

秋山 ビジネスでも、会議やチームによって出席メンバーが違うと、自分の求められている役割が変わりますよね。自分の本来の性質とは別に、その場その場で、暫定的に生じた役割を担う。それは別に自分を殺すことではない。そこにいる人同士の化学反応をより有機的にして、よりよいものを生むために必要な、とても創造的な態度ですよね。実際に僕が知っているこんな例があります。

 ある会社では、どの会議でも、参加者全員がきわめて意識的に、今回は自分はなになにの役、とメンバーの顔を見て自分の役割を判断する。そして、会議では決めた役割通りふるまうことが習慣になっていました。あ、今日は私、こういう役でいくから、みたいに宣言することもあった。だからどんな会議でも、ただ座っているだけの、いてもいなくてもいい人というのはいないんです。

 午前中の会議では、饒舌に場をまぜっかえして、新しい意見が出るように挑発する係だった人が、午後の会議では、自分よりそういうことが得意な人にその役を譲って、自分はわざと「それってどういう意味ですか」とバカの役をすることで、議題を再定義する役割を果たすとか。

 残念ながら、多くの一般的な日本の組織では、とくに同僚同士、お互いにプロとプロとして、役割分担して、有機的な化学反応を起こす、というのは成り立ちにくいのが現状です。予定調和や根回しで、上意下達、既定路線どおりに進めるのがよしとされてしまいがちですね。

松本 プロフェッショナルの意味というか、あり方が変わってきたのかなと思うことがあります。

 たとえば、従来のアナウンサーは、ニュース報道でフランクな感想を述べたり、幼い印象を与えるコメントを発するべきではないと思われていたし、アナウンサー自身もそう認識していたでしょう。しかし、最近は視聴者がむしろそういうものを求める場合もある。身近な感じがする、好感が持てると受け止める人も多いようです。それに応じてアナウンサーの反応のしかたが変わってきたかもしれません。