そこで今回は、そうした客観指標による評価ではなく、意識面から、すなわち医療に対する国民の「満足度」から各国の医療水準を評価してみることにする。

 内閣府では、高齢化対策の立案のために、5年ごとに主要国の高齢者を対象に共通の調査票で意識調査を行っている。図1には、医療サービスに関し、どこに不満を感じているかを尋ねた結果を掲げた。

 医療サービスを受けたことがある高齢者の中で、何らか不満がある者の割合を見ると、日本は34.3%と米国、フランスに次ぐ高さとなっており、不満度がやや高いように思われる。しかし、具体的にどんな不満かを知らなければ、医療水準を推し量ることは難しい。

 そこで、どんな点に不満を感じているかを見ると、日本の場合は「診察の時に待たされる」が19.2%と最も多くなっている。この不満点が最多であるのはスウェーデンやドイツも同じである。

 米国と韓国は「費用が高い」が一番の不満点となっている。この場合は、診療費の高さの他、公的保険で賄われない自己負担の大きさが反映していると考えられる。トランプ大統領が誕生した先の米国大統領選でも、医療保険のあり方が最大の争点であったのはこうした事情による。

 充実した社会保障制度で知られるスウェーデンでは、米国とは対照的に、「費用が高い」という不満は3.2%と非常に低くなっている。この点、日本はまあまあの水準である。そして、残る1国のフランスでは「手術などの日を待たされる」が17.7%で最多となっている。「診察の時に待たされる」よりこちらの方が深刻であることは言うまでもなかろう。

©本川 裕 ダイヤモンド社 禁無断転載
拡大画像表示