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田村耕太郎の「坂の上に雲はない!」

機能しない政府に政策立案を独占させるな!
世界最高のシンクタンクで感じること

田村耕太郎
【第26回】 2011年8月15日
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サンタモニカになぜ存在するのか?

 アメリカで最も歴史があるランド研究所に移籍して、1週間が過ぎた。建物も事業領域もあまりにスケールが大きすぎて、まだ全貌を理解できたわけではない。ただ、この研究環境の素晴らしさに敬服する。規模も影響力も世界最大級と言われるシンクタンクに身を置いて1週間。国としてシンクタンクを持つ意義とシンクタンクが機能する条件について思ったことを書いてみる。

 まず場所のよさ!ランド研究所は世界一立地がいいと言われる。この立地の良さの背景に「国としてシンクタンク」を持つ意義がある。“政府から離れ、独立した立場で政策を提言する”という意義だ。

 アメリカのシンクタンクの所在地というと、首都ワシントンDCを連想する人が多いと思う。ブルッキングス、CSIS、外交評議会等ほとんどの有力シンクタンクの本部はDCにある。ところが、ランドの本部は、全米でもあこがれの的のビーチシティ、サンタモニカの一等地だ。観光地でもあるサンタモニカビーチからワンブロックしか離れていない。そして広大な敷地にビーチの喧騒を離れて静かに密かにたたずむ。

 ランドがサンタモニカに設立された経緯は色々あるが、本拠地としてここを動かなかった理由が興味深い。ランドの幹部とカフェテリアでランチしながら懇談した時の話だ。私は「サンタモニカは気候もいいし、気にいった。だけどなぜ最大の顧客である政府に近いDCに行かないの?」とストレートに聞いてみた。

 幹部は「ワシントンにも支所はある。ワシントンは今でも最大の顧客だ。だから仕事はしっかりもらう。でも政府やロビイストの影響は受けたくない。独立した立場で政策を立案することがランドの理念であり、だからランドに仕事が来るのだ。だから離れたサンタモニカにいるのだ。逆説的だが、政府から遠くにいて、政府の影響力から独立しないと政策にインパクトを与えられる客観的で影響力のある仕事はできない」と自信を持って答えてくれた。

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田村耕太郎

エール大学、ハーバード大学元研究員。
世界で最も多くのノーベル賞受賞者を輩出したシンクタンク、ランド研究所にて唯一の日本人研究員を務めた。新日本海新聞社相談役。前大阪日日新聞代表取締役社長。国立シンガポール大学公共政策大学院元研究員。
‘02年から‘10年まで2期参議院議員を務める。その間、内閣府大臣政務官(経済財政・金融・地方分権・再チャレンジ各担当)、参議院国土交通委員長を歴任。
著書には『君は、世界を迎え撃つ準備ができているか?』『君は、こんなワクワクする世界を見ずに死ねるか!?』などがある。

 

 


田村耕太郎の「坂の上に雲はない!」

欧米だ、シンガポールだ、韓国だ、中国だ、そんなことを言っても、キャッチアップのモデルはもはや世界に存在しない。日本は日本の現状に合わせて自らをモデルチェンジするしかない。坂の上にもはや雲はない!

「田村耕太郎の「坂の上に雲はない!」」

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