サービス残業代は取り返せる!タダ働きと決別する基礎知識企業のコンプライアンスが厳しく問われるようになった今でも、サービス残業が横行している会社は多い。タダ働きから逃れるにはどうしたらいいのか?(写真はイメージです)

何かおかしい!タダ働きで
善意を食い物にされる会社員

「うちの職場、時給換算したら400円だったんですよ……。しかも手取りは12万円。もっと早く転職すればよかったと後悔してます(笑)」「私は時給換算すると620円でした。手取りにすると16万円弱です。なんというか……ほんと、美容業界ってブラックですよね(汗)」

 私は先日、以前勤めていた会社のお客様(美容師さん)と話す機会がありました。そのときに交えた会話の一部が、この自虐的な内容です。

 私は3年前まで、美容室にシャンプーなどを販売する専門商社で働いていました。そこはブラック企業でした。というより、私が知っている競合他社もみんな真っ黒でした。過労死ラインを超えて働くのは当たり前。自社も含め、キチンと残業代を支払っている会社は、私の知る限りではほぼ皆無でした。
 
 とはいえ、連日話題となっている運送業界も含め、このような違法な労務管理が横行しているのは、おそらく美容業界だけに限らないでしょう。特に中小企業では、多かれ少なかれ、従業員のお金を会社が窃盗する行為、いわば「サービス残業」が日常的に横行していると私は推測します。

 もちろん、個人が好きでサービス残業をしているのなら、それが違法かどうかの線引きはかなり曖昧になります。現行の労働基準法をもってしても、明確な線引きを定義して全ての労働者の「働き方」を守るのは難しい。サービス残業はとても根の深い問題であり、おそらく誰もが納得できる答えを出すのは不可能でしょう。

 そう考えると、サービス残業は「労働者の善意」の上に成り立っていると言えます。そして、その善意に付け込もうとする悪い経営者がいるのも疑いようのない事実です。

 しかし、「善意」だっていつまでも続くものではありません。「自分は働かされ過ぎではないか」「何かおかしい、納得がいかない」――。会社に搾取され、もがき苦しみ続けるこうしたビジネスパーソンが、もしも近い将来、サービス残業代を取り返したいと思ったら、どうすればいいのでしょうか。自らの経験を基に、ささやかなアドバイスを贈りましょう。