クリスマス・シーズンが近づくと、アメリカの新聞や雑誌、テレビはうんざりするほどダイヤモンドの広告で埋めつくされている。クリスマス・プレゼントにジュエリーを贈ることが多いのもその理由だが、何でも12月はもっとも婚約が多い時期だそうだ。

 しかし、この不況だ。いったいそんなに高価なジュエリーを買う客がいるものかと疑いたくなる。だが、その中でオンライン・ジュエリー専門店のブルーナイルは、強気にも今期2ケタ成長の増収を予想している。

 ブルーナイルは10年前に設立されたジュエリー専門のオンライン・ショップ。強みはダイヤモンドの婚約指輪である。

 設立当時は、インターネットで宝石を、しかも一生モノの婚約指輪を買うなどあり得るのかと、眉をひそめる人々が大半だった。ところが、ブルーナイルは宝石商としてすっかり定着し、今や世界最大のオンライン・ジュエリーショップに成長。2004年にはIPO(新規株式公開)も果たした。

 ブルーナイルの人気の秘密は、男性にある。何と言っても同社の客のほとんどが男性なのだ。男性が買って、女性に贈る。そのために利用されているのである。

 女性と違って、本当のところは宝石などに関心はない男性たち。それでも彼女や妻のために指輪を買わねばならない。だがピカピカの宝石店へ足を踏み入れるのは苦手……。だいたい宝石の価格がどういう仕組みでつけられているのかが不可解……。洋の東西を問わず、世界はそういうタイプの男性たちで満ち溢れているのである。

 「男の味方」という愛称までついているブルーナイルが解決したのは、まさにそうした男性の弱みであった。