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「子ども手当」は、いったい何だったのか

山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]
【第195回】 2011年8月24日
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少し不公平なベーシック・インカム

 子ども手当を一言で言い換えると、「子どもの親に偏った、少し不公平なベーシック・インカム」ということになるだろう。この場合、「少し」という言葉が、大勢として問題が小さい「僅かに」に近いニュアンスなのか、存在すること自体が相当に問題な「かなり」に近いニュアンスなのかが問題だが、筆者は、前者のニュアンスで使っている。

 子ども手当は、いかにも民主党らしい、民主党の政策の長所を象徴するはずの政策だったが、政権発足当初から、「バラマキである」、「財源の裏付けがない」といった批判を受けて、何とも不人気な政策として、歪められて、その命脈が絶たれようとしている。

 今にして思うと(当時もそう主張していたつもりだが)、子ども手当は、政権初年から満額で実施して、その分追加で国債を発行し、景気対策兼日銀の金融緩和の手段として用いれば良かったし、もっと進めていうなら、「子ども手当」だけでなく、「大人手当」も創設すれば良かった。

 こう書くと、読者は、筆者が冗談かやけくそを言っているように思われるかも知れない。しかし、ダイヤモンド・オンラインは冗談を言う場所ではないし、筆者が民主党と一緒に「やけくそ」になる理由もない。

子ども手当、3つの特長

 政策としての子ども手当には、3つの特長がある。
(1)子育てのインセンティブを強化する政策であること、
(2)使途が自由な経済力の再配分であること、
(3)単純なルールに基づく非裁量的な政策であること、
の3点だ。

 政策のメリットが子どものいる家庭に限られることには、確かに議論の余地があった。老人も含めて大人にも子どもにも、1人当たり一律の現金を支給する仕組みをベーシック・インカムと呼ぶが、たとえば、基礎年金、生活保護、雇用保険などを廃止して、1人当たり毎月数万円のベーシック・インカムに置き換えるような制度を考えると、こちらの方が年齢による差別をしていない点で公平であり、経済力の再配分の仕組みとして、より網羅的なものになる。

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山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]

58年北海道生まれ。81年東京大学経済学部卒。三菱商事、野村投信、住友信託銀行、メリルリンチ証券、山一證券、UFJ総研など12社を経て、現在、楽天証券経済研究所客員研究員、マイベンチマーク代表取締役。


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