つまり、図表2に示した現象が起こります。

 集中して宿題をやれば40分で終わるとしましょう。では、宿題を5分やり、チャットを5分、また宿題に戻って5分、チャットを5分というように、宿題をやりながらチャットをすると、どうなるでしょうか?

 宿題もチャットも同じくらいの時間を使っていますから、約2倍の時間がかかると考えるかもしれません。午後8時に宿題をスタートすれば、宿題に40分かかり、チャットに40分使ったとしても、9時半くらいには終わるはず、と思うかもしれません。

 しかし、じつは、チャットから宿題に戻ってくるたびに、「あれ、さっきまで何やってたっけ?」となります。すると、前に読んだ文章を読み直す必要が出てきたり、計算をどこまでやったか忘れてしまい、最初からやり直したりします。

 この時間は軽視できません。人間の脳みそというのは、一度に複数の集中作業ができないようにできています。マルチタスク(集中力を必要とする作業を同時進行させること)が苦手なことは、研究により証明されているのです。宿題が午後10時になっても11時になっても終わらないのもうなずけます。

 このように、宿題がなかなか終わらない原因は、LINEと宿題を同時にやろうとすることにありました。でも、この習慣を直すにはさらに考える必要がありました。これを整理したのが図表3です。

 複雑に見えて答えが簡単には見つからない問題も、掘り下げていくと「つまり、これだよね」と思えるシンプルな構造があるものです。