一昔前まで、クレジットカードで『借金漬け』になるのは浪費癖のある女性、というイメージだったが、気軽にクレジットカードで決済ができるようになった現在、一般的な金銭感覚の女性たちまでもがカードの返済に追われている。多くの女性がカード返済地獄に陥るようになった背景について、専門家に聞いた。(清談社 松原麻依)
冠婚葬祭の出費がきっかけで
借金を重ねるはめに
海外旅行先やオンライン上ではカード決済が主流となった現在、クレジットカードを持つことはいたって普通のこととなった。また、コンビニや居酒屋、全国チェーンの飲食店など、気軽にカードを使える場が増え、たとえ少額でもクレジットカードで支払いを済ませる人が多くなっているという。
クレジットカードの制度が“ツケ払い”である以上、今も昔も、自分の経済力に見合わない買い物をして、返済に行き詰まる人は少なくない。だが、クレジットカードを利用するハードルが一昔前よりも低くなったため、「借金の重ね方」の傾向も変わってきているようだ。
都内に暮らす派遣社員のAさん(28歳・女性)も、月々のカードの返済に追われる一人である。Aさんは特に浪費癖があるわけでなはい。むしろ、都内で家賃6万円のアパートに住むAさんの暮らし向きは堅実なほうだが、頻繁にクレジットカードを利用し、気がつけば「毎月赤字の状態」に陥っていたという。
「友人の結婚式など、冠婚葬祭が重なった月があって、その時からクレジットカードを使うようになりました。御祝儀代がかさみ、その月は完全に赤字。そのため、コンビニやスーパーなどで自分のものを買うときは、カードで済ませるようになったのです」(Aさん)
Aさんの手取りは月18万ほど。給料日の約10日後には、先月分のカードの支払額が引き落とされる。そうなると、またもやその月の生活費が足りなくなる。
「日々の生活費はクレジットカード頼み、という生活を1年近く続けた結果、今では手取りのほとんどがカードの引き落し日に消えてしまいます。派遣社員なのでボーナスなどはなく、一度に返済することは難しい。今はまだ生活できていますが、もし何らかの理由で休職や退職になった場合を考えると不安です」(Aさん)
来年は派遣の更新のタイミングだというAさん。30歳を目前にして、もし更新を打ち切られてしまったらどのように生活をしたらいいのか、頭を悩ませている。