日本企業の会議がダメなのは「落としどころ」を想定して臨むからだ

海外のビジネスマンと会議をして最初に気がつくことがある。多くの日本人ビジネスマンは最初に「落としどころ」のイメージをもって会議に臨むが、そんなことをするのは日本人だけだ。日本人から見ると、最初はどうしようもないように思える国際会議が、最後に素晴らしい成果を生むのは、会議に臨む人たちの発想法の違いにある。(アクセンチュア マネジング・ディレクター 中野豊明)

インド人社員らが
お気に入りの冗談

 インドのバンガロールにあるアクセンチュアの巨大なビルで、国際会議を行った時のこと。

 その会議には世界中から数多くのインド人が集まっており、多数のインド人と話をした。そのうちの何人ものインド人が私と初めて会話をする時に「何か仕事があるとする。それを誰かができるなら自分もできる。『誰もできないなら、自分がやらねばならない』というのが日本人だろ?インド人は、誰かができるならそいつにやらせる。誰もできないなら、ほっておく」と言って、歯並びのいい口を大きく開けて大笑いをした。

 アクセンチュアは世界で約40万人の社員がいるが、そのうち半数の20万人はインド人で、インドのみならず世界各地で活躍をしている。その世界中から集まってきたインド人たちが同じジョークを言って大笑いするのだから、インド人社会では、お気に入りの冗談の1つらしい。

 もちろん、このジョークのオチはインド人のくだりで、自虐的に自分たちを語ることで笑いを取ろうとしているのだが、数回同じ話を聞くうちは大笑いしたものの、5回、10回と聞くとちょっと違った印象を持つようになる。自分たちを笑うと同時に日本人の「自分がやらねばならない」という考え方も揶揄しているのではないか、と。