ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
出口治明の提言:日本の優先順位
【第20回】 2011年9月6日
著者・コラム紹介バックナンバー
出口治明 [ライフネット生命保険(株)代表取締役会長]

野田新内閣に期待することはできるか?
「人事」と「政策」からその実力を測る

1
nextpage

 菅内閣の総辞職を受けて、9月2日に発足した野田新内閣は、一先ず順調なスタートを切ったようだ。野田内閣の支持率は67%(不支持率は21%)と、就任時の鳩山内閣の75%、菅内閣の68%には及ばなかったものの、政権発足時の内閣支持率としては歴代6位の高位置を占めた(9月4日付日本経済新聞朝刊、世論調査を参照。以下同様)。

 政権発足時の評価は人事と政策であらかた決まる。世論調査の結果に照らし合わせながら、まずはこの2つから、論じてみよう。

党内融和は当然
幹事長に輿石氏という「英断」

 野田首相は、人事の要となる幹事長に小沢氏に近いとされる輿石参議院議員会長を捉えて党内融和を強く演出した。この作戦は成功したようだ。なぜなら、「野田内閣や民主党執行部の顔ぶれを評価する」との回答は48%、「評価しない」は29%だったからである。わが国の小沢アレルギーは、メディアの常軌を逸した報道振りとも相まって異常に増幅されており、小沢氏と「距離を置くべきだ」が65%で、「協力すべきだ」の24%を大きく上回った。それにもかかわらず、人事全体としてはほぼ過半に近い評価を受けたのである。

 しかし、よく考えてみれば、党内融和は当然だ。8月29日に行われた民主党の代表選では、党内最大の小沢グループの支授を受けた海江田氏が1位で143票を集めたのに対し、2位の野田氏はそれより41票も少ない102票に過ぎなかったからである。決選投票では、2・3位連合が奏功し、野田首相が新代表に選出されたが、票差は38票でしかなかった。このような党内事情を考えれば、小沢グループを排除した党運営など、そもそも初めから成り立つはずもないことが素人目にも解る。

 筆者は小沢氏とは一面識もないが、野田首相が小沢氏に近い輿石氏を要石に据えたのは定石通りの「英断」だったように思われる。けだし、人間は分かっていても、なかなか定石通りの手が素直には打てない動物だからだ。後は「首相の強いリーダーシップの発揮」(「野田内閣が最も重点を置くべきこと」に対する回答として53%があげた。なお、次点は「野党との積極的な協調」の31%)を期待するのみである。

1
nextpage
スペシャル・インフォメーションPR
ダイヤモンド・オンライン 関連記事
自分の時間を取り戻そう

自分の時間を取り戻そう

ちきりん 著

定価(税込):本体1,500円+税   発行年月:2016年11月

<内容紹介>
生産性は、論理的思考と同じように、単なるスキルに止まらず価値観や判断軸ともなる重要なもの。しかし日本のホワイトカラー業務では無視され続け、それが意味のない長時間労働と日本経済低迷の一因となっています。そうした状況を打開するため、超人気ブロガーが生産性の重要性と上げ方を多数の事例とともに解説します。

本を購入する
ダイヤモンド社の電子書籍
(POSデータ調べ、11/20~11/26)


注目のトピックスPR


出口治明 [ライフネット生命保険(株)代表取締役会長]

1948年、三重県美杉村生まれ。上野高校、京都大学法学部を卒業。1972年、日本生命保険相互会社入社。企画部や財務企画部にて経営企画を担当。生命保険協会の初代財務企画専門委員会委員長として、金融制度改革・保険業法の改正に従事。ロンドン現地法人社長、国際業務部長などを経て同社を退職。その後、東京大学総長室アドバイザー、早稲田大学大学院講師などを務める。2006年にネットライフ企画株式会社設立、代表取締役就任。2008年に生命保険業免許取得に伴い、ライフネット生命保険株式会社に社名を変更、同社代表取締役社長に就任。2013年6月24日より現職。主な著書に『百年たっても後悔しない仕事のやり方』『生命保険はだれのものか』『直球勝負の会社』(以上、ダイヤモンド社)、『生命保険入門 新版』(岩波書店)、『「思考軸」をつくれ』(英治出版)、『ライフネット生命社長の常識破りの思考法』(日本能率協会マネジメントセンター)がある。

ライフネット生命HP

 


出口治明の提言:日本の優先順位

東日本大地震による被害は未曾有のものであり、日本はいま戦後最大の試練を迎えている。被災した人の生活、原発事故への対応、電力不足への対応……。これら社会全体としてやるべき課題は山積だ。この状況下で、いま何を優先すべきか。ライフネット生命の会長兼CEOであり、卓越した国際的視野と歴史観をもつ出口治明氏が、いま日本が抱える問題の本質とその解決策を語る。

「出口治明の提言:日本の優先順位」

⇒バックナンバー一覧