産業革新機構は、東芝メモリとJDIの巨大案件に翻弄されている Photo:Reiji Murai、REUTERS/アフロ

産業革新機構が二つの巨大案件に揺さぶられている。東芝メモリの売却交渉と、経営危機のジャパンディスプレイ(JDI)の再建だ。いずれも戦略不在のまま事態に翻弄される官民ファンドは、その役割を厳しく問われることになりそうだ。(「週刊ダイヤモンド」委嘱記者 村井令二)

「いつまでにけりをつけてくれますか」。産業革新機構の志賀俊之会長は、35%を出資するジャパンディスプレイ(JDI)にスポンサー探しの期限を示すことを迫っている。

 8月9日、JDIはみずほ、三井住友、三井住友信託の3銀行と1070億円のコミットメントライン(融資枠)の契約を締結し、足元の資金繰り危機を回避したが、メーンバンクを持たないJDIが3行の支援を得られたのは、革新機構が債務保証を与えたためだ。

 昨年12月末に資金繰り難に陥っていたJDIに750億円を支援した革新機構は、わずか8カ月で再支援に乗り出した。

 ただ、革新機構が今回の支援と引き換えに突き付けたのはエグジット(投資回収)の意向。JDIの資本を増強し、願わくば35%の持ち株を引き取ってくれるスポンサーを、JDIに自ら探すよう迫っている。

「基本的に2017年度中にめどを付けたい」。9日の記者会見でJDIの東入來信博会長は、外部提携先との交渉は、「18年3月末」を区切りに進める考えを表明した。