JDIトップ人事に違和感、問われる産業革新機構の役割JDIは2014年に上場してからの3年間で、トップが2度も替わることになる Photo:REUTERS/アフロ

 経営が混迷の度を深めていることを、周囲にまざまざと見せつけるかのような人事だった。

 スマートフォンなどに使われる中小型液晶の最大手、ジャパンディスプレイ(JDI)は、今年6月の株主総会を経て、本間充会長兼最高経営責任者(CEO)が退任する人事を発表した。

 三洋電機出身の本間氏は、2015年6月にJDI会長に就任。稼働が低迷する生産拠点を相次いで閉鎖するなど、最終赤字に苦しむ同社の構造改革に取り組んだものの、昨夏には企業にとって致命傷になりかねない資金繰り不安を招いてしまった。

 結果として、筆頭株主の官民ファンド、産業革新機構から750億円の金融支援を受けることで資金繰り不安を何とか解消する事態となり、本間氏はその責任を取ったかたちだ。

 経営体制の刷新は、上場企業として「自然な流れ」といえるが、一方で、違和感を拭い切れないのが後任の人事だ。

 不思議なことに、今春にも買収し連結子会社化する予定の企業(有機ELディスプレイを手掛けるJOLED)の社長を、親会社となるJDIのCEOとして迎えるというのだ。

 子会社化の最終契約を結んですらいない段階で、人事だけを先走って発表し、さらに“子”に“義理の親”の世話をさせようとする、その違和感はかなり強い。

 そうした様子を見るにつけ、いかにJDIの経営が混迷し、激動のディスプレイ業界と正面から向き合おうとする人材が見つからなかったのかがよく分かる。