ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
こだわり蕎麦屋めぐり
【第4回】 2011年9月16日
著者・コラム紹介バックナンバー
鎌 富志治 [夢ハコンサルティング代表]

芝「案山子」――本格の和懐石と二八蕎麦に命を与える“ひとしずくの水”へのこだわりが客に感動を呼ぶ

1
nextpage

遊び人の父親に連れられて、小学生の頃から寿司屋のカウンターで握りをつまんでいた。そんな亭主が、「安曇野・翁」の二八蕎麦に心を奪われ、修行の道に入る。蕎麦修行の後、4年半の料理修行を経て開いた店は、蕎麦好きだけでなく、イタリアンやフレンチ好きの客をも虜にする。連載4回目は、蕎麦好きでなくとも惹きつけられてしまう、芝「案山子」を紹介する。

江戸の昔に由来があると言われる“二八蕎麦”
それを技術、品質ともに最高レベルに高めた職人がいる

“蕎麦は二八”と言われた時代があった。この“二八”は江戸の昔に由来があるのだが、やかましいくらいの諸説があり、薀蓄好きの蕎麦マニアには蕎麦屋酒での格好の肴になっている。

蕎麦は手繰るといい、江戸っ子の気の短さを象徴する言い回しだ。小腹が空いたときに徳利1本と二八を手繰るのが職人の粋だった。

 代表的なものは蕎麦粉8割、小麦つなぎ2割の二八説。ならば八二蕎麦が本当だろうから、どうなんだとなる。

 もうひとつは価格説。これは江戸中期から蕎麦は16文の時代が長く、江戸っ子が九九で洒落て二八にした。これには江戸後期24文に値上がりしたから無理筋だろう、といった具合だ。

 現代にその二八蕎麦を技術的にも品質的にも最高レベルに高めた職人がいる。一茶庵創始者の蕎麦聖といわれた片倉氏の直弟子、「翁達磨」を興した高橋邦弘氏である。

 何人もの職人たちが、“二八の美学”と言われる高橋氏の完成された蕎麦打ちを早朝に見学に行ったという。

カフェバーのような外観、敷居が高く見えるが、初めての客も和やかに迎える。1年余りをかけて見つけた店舗だけに愛着がひとしおだという。

 あの池波正太郎が通ったという神保町「松翁」の亭主も彼の朝の蕎麦打ちに通ったという。

 日本で初めて蕎麦の色彩選別機を考案した茨城「月待ちの滝・もみじ苑」の亭主の場合は並ではなかった。

 10年にも及ぶ間、自分の店の定休日前日に、茨城から山梨まで徹夜で7時間も車を飛ばして通ったそうだ。

1
nextpage
スペシャル・インフォメーションPR
ダイヤモンド・オンライン 関連記事
まいにち小鍋

まいにち小鍋

小田真規子 著

定価(税込):本体1,100円+税   発行年月:2016年11月

<内容紹介>
簡単で安くて、ヘルシー。ポッカポカの湯気で、すぐにホッコリ幸せ。おひとりさまから共働きのご夫婦までとっても便利な、毎日食べても全然飽きない1〜2人前の小鍋レシピ集!「定番鍋」にひと手間かけた「激うま鍋」。元気回復やダイエットに効く「薬膳鍋」や、晩酌を楽しみたい方に嬉しい「おつまみ鍋」など盛り沢山!

本を購入する
ダイヤモンド社の電子書籍
(POSデータ調べ、11/20~11/26)


注目のトピックスPR


鎌 富志治 [夢ハコンサルティング代表]

大手広告代理店で営業局長やプロモーション局長を歴任後、東京・神田須田町で手打ち蕎麦屋「夢八」を開店する(現在は閉店)。現在は企業経営コンサルタント、蕎麦コンサルタントとして活躍中。著書に『こだわり蕎麦屋の始め方』(ダイヤモンド社)がある。
◎ブログ:蕎麦の散歩道


こだわり蕎麦屋めぐり

酒と料理と極上の蕎麦。思わず誰かを連れて行きたくなる、五つ星のもてなしが楽しめる手打ち蕎麦屋。蕎麦が美味いのは当たり前、さらにはそこでしか味わえない料理ともてなしがある店ばかりを厳選。付き合いや接待に良し、大事な人と大事な日に行くも良し。店主がこだわり抜いた極上店の魅力とその楽しみ方を紹介する。

「こだわり蕎麦屋めぐり」

⇒バックナンバー一覧