Photo by Yoshihisa Wada

手探り状態に光明をもたらした
渥美先生の著作との出会い

 自他共に「ダメ人間」と認めるような人でも、前回述べた「ロマン」と「ビジョン」があれば必ず覚醒し、仕事に打ち込めるようになる。仕事を通じて実現してみたいことを思い描くことが「ロマン」であり、ロマンへの取り組みが的確なものであるかを検証する術が「ビジョン」だ。

 これに意欲や執念、そして好奇心が加われば、鬼に金棒だと思う。そしてもう一つお伝えしたいのが、「自分を育ててくれる師を探し、師から学び、そして自身も人を育てる存在になろう」ということだ。

 経営危機の中で、藁にもすがる思いで参加した米国視察旅行で覚醒し、やるべき道が見えたことは前回述べたが、帰国後すぐに、米国の多店舗展開でチェーンストアの最低限必要とされていた店舗数「11店」を目指して取り掛かった。

 途中、奇抜なコマーシャルを制作して話題づくりを仕掛けたり、1円でも安い家具を求めて全国をめぐったりした。時には、倒産した家具メーカーの商品を買い占める“バッタ屋”まがいの買い付けも辞さなかった。

 しかし、何もかもが手探り状態で、やることがちぐはぐだった。ロマンは明確なのだが、それを実現するための方法や手順が分かっていないのだ。だから出店するたびに悩みごとが増え、結局、3~4年に1店というペースでしか店を広げられなかった。

 従業員も居着かなかった。当然だ。労働条件は悪いし、過重労働で低賃金。本来、従業員に対して「払うものは払い、休ませるときは休ませる」べきであるのに、真逆なことをやっていたからだ。だから、入社して仕事に興味を持ち、頑張っていた社員ほどさっさと辞めていく。嫌になってしまうのだ。