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吉田恒のデータが語る為替の法則

金バブル破裂で「安全通貨」円はどうなる?
ユーロ安一服で、悲観相場はついに転換か

吉田 恒
【第152回】 2011年9月28日
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 金(ゴールド)、スイスフランといった、円とともに「安全資産」とされてきた投資対象が軒並み急落に転じています。これは「安全通貨」である円の下落にも波及するのでしょうか?

 一方で、「危機」を主導する欧州の市場においては、売られ過ぎや下がり過ぎが目立ってきました。

 何度か「未遂」に終わってきた悲観相場ですが、今度こそは転換に近づきつつあるのでしょうか?

バブル破裂のパターンどおりとなった金相場の急落

 先週末の金相場は1600ドル台まで一段安となり、8月下旬につけた高値からの下落率は10%を大きく超えてきました。

 私はこの間、金相場の「バブル破裂」の可能性を何度か警告してきたのですが、これまでのところ、まったくそのような警告どおりの動きになってきたと言えそうです(「9月FOMCで何が決まっても円安転換か。金のバブルはついに破裂の重大局面へ」など参照)。

 ところで、金相場は2008年3月から半年以上にわたり、3割を超える下落が続いたことがありました。今回の場合も「バブル破裂」ということならば、少なくともそれと同じ3割程度か、場合によっては3割を大きく超える大幅安に向かう可能性が注目されるでしょう。

 「資料1」は、2008年3月からの金相場の下落と、8月下旬からの今回の金相場の下落のグラフを重ねたものですが、似たようなタイミングで下落が本格化していることわかるでしょう。

資料1

 

 なお、「資料2」のように、金相場が2008年3月から大幅安となった局面では、為替は米ドル高・円安となりました。

 「安全資産」の金が大幅安となる中で、「安全通貨」とされる円も一段安となったことは、理解しやすい話ではあります。

資料2

 

 これに対して、今回は金相場がすでに1割以上もの大幅安となっているのに、円はまだ高止まりが続いています。今回の場合は「安全資産バブル破裂」とは違うということなのでしょうか?

 やはり、「安全資産」の代表的な存在である債券が、価格下落・利回り上昇へ転換するかということと合わせて、いよいよ重大局面に入ってきたのではないでしょうか?

「安全資産」も下落と上昇で「二極化」している

 このように、「安全資産」とされる金や、スイスフランも急落に転じていますが、その一方で、同じく「安全資産」とされる債券や円は高止まりが続いています。

 妙な言い方ではありますが、「安全資産」も下落と上昇の「二極化」のようになっています。

 金が下落しているのは金融市場のリスクが去ったからではなく、むしろリスクが長期化、深刻化する中で、手元資金を確保するために過ぎないとの見方も少なくありません。

 そのようなリスク深刻化の「主役」こそが、ギリシャなど欧州の危機との見方が一般的のようです。そこで…

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吉田 恒 

立教大学文学部卒業後、自由経済社(現・T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社。財務省、日銀のほかワシントン、ニューヨークなど内外にわたり幅広く取材活動を展開。同社代表取締役社長、T&Cホールディングス取締役歴任。緻密なデータ分析に基づき、2007年8月のサブプライムショックによる急激な円高など、何度も大相場を的中させている。2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケット エディターズ」の日本代表に就任。


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