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デジタル時代のIT投資効果をどう見極めるか

内山悟志 [ITR代表取締役/プリンシパル・アナリスト]
【第72回】 2017年9月15日
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KPIは依然として重要な指標となる

 一般的にIT投資を管理するためには、事前の可否判断や目標設定に加えて、事後の効果測定を行ってPDCAサイクルを回すことが求められるが、そのためには計測可能な評価項目とKPIを設定することが前提となる。評価項目は、効果分類をもう一段具体的に落とし込んだもので、それに対してKPIや目標値を設定するものである。KPIのない活動はないといわれるように、施策やそれに関連する活動を実施する際には、現状(As-Is)と目指すべき姿(To-Be)を明確にし、その実現・達成状況を測定可能な評価指標に応じたKPIで表すことが不可欠である。

 具体的なKPI設定についても触れておこう。それぞれの施策案件ごとにそれによって目指す姿を明確に示す。これについては定性的な記述で構わない。そのうえで、何をもってその目指す姿が実現できたといえるのかを表す指標(成果指標)や、目指す姿になるために必要な活動の進捗を確認できる指標(活動指標)をKPIとして設定する(図5)

 そして、設定したKPIについて、 (必要な場合は測定して)現状の値を明確にした上で、IT投資を行うことで実現しようとする目標値を設定する。施策案件の性質によっては、成果指標を明確に示すことができる評価項目もあるが、成果が測りにくいため活動指標だけしか設定できない場合もあるであろう。できれば成果指標と活動指標の両方を設定することが望ましい。

 いずれの場合においても評価時期を明確にしておくことがポイントとなる。これまでのIT投資の事後評価は、稼働時点または稼働後6カ月から1年程度を評価時期とするのが一般的であった。一方、攻めのIT投資案件は、すぐに効果が表れるものばかりでないため、3年後といった中長期の評価となる場合がある。またその一方で、投資の継続可否判断や施策内容の軌道修正などのために、短期的に評価のサイクルを回す必要があるような案件もある。

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内山悟志
[ITR会長/エグゼクティブ・アナリスト]

うちやま・さとし/大手外資系企業の情報システム部門などを経て、1989年からデータクエスト・ジャパンでIT分野のシニア・アナリストととして国内外の主要ベンダーの戦略策定に参画。1994年に情報技術研究所(現アイ・ティ・アール)を設立し、代表取締役に就任。2019年2月より現職。


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