「飲みニケーション」が消滅すれば
職場でパワハラが増える

 もちろん、擁護する声もある。日々厳しい数字のプレッシャーに追われる営業マンたちからすれば、アメとムチではないが、叱咤に合わせてしっかりとフォローを行うことで、モチベーションが上がるということを経験則として知っている。要は、営業をやったことのない人間からすれば、「パワハラ飲み会」のように見えるかもしれないが、ちゃんと効果のあるもので、キリンビールに限らない「営業マンあるある」だというのだ。

 どちらの主張も分からんでもないが、個人的にはそれよりも気にかかるのは、今回の「炎上騒ぎ」によって、ただでさえ衰退傾向にある「飲みニケーション」を敬遠するピジネスパーソンが増えてしまわないか、ということだ。

 そんな「悪しき習慣」はきれいさっぱりなくなった方がいいという人も多いだろうが、実は「飲みニケーション」が過度に敬遠された職場というのは、かえってパワハラが発生しがちという皮肉な結果が出ているのだ。

 39の労組や企業などにヒアリングを行って、パワハラ対策の調査をした独立行政法人労働政策研究・研修機構は以下のように考察している。

《3. ハラスメント発生の背景・原因と考えられるもの ・「飲みニケーション」の減少
勤務後、職場内の従業員同士でお酒を飲みなかがら交流を図る「飲みニケーション」が近年減ってきたことが、コミュニケーション不足につながっている。同じ会社でも電車通勤の事業所では飲み会を頻繁に開くので職場内の結束は強いが、車通勤の事業所では結束は弱いという傾向がある。》(2012年4月 職場のいじめ・嫌がらせ、パワーハラスメント対策に関する労使ヒアリング調査―予防・解決に向けた労使の取り組み― より)