90年代に入ると一転、
酒のネガティブイメージが加速

 その評価がガラリと変わったのが、日本企業の海外進出が加速化したことである。現地で摩擦をひきおこすということが問題となり、その原因を地球産業文化研究所という団体が調査をしたところ、「日本的な経営慣行」だということが明らかになり、そのなかのひとつとして「飲みニケーション」における、以下のような−面に注目が集まったのだ。

「会社が終わった後の酒席でものごとがいつの間にか決まるなど意思決定でのあいまいさ」(朝日新聞1990年1月9日)

 中国や韓国など、アジア諸国では当たり前のようにビジネスシーンで「飲みニケーション」を行っているにもかかわらず、「欧米人は仕事終わりに酒を飲みに行かず、まっすぐ家に帰る」というエピソードだけが一人歩きして、なにやら「日本独特の恥ずべき文化」となってしまったのだ。

 時を同じくして「アルハラ(アルコールハラスメント)」という言葉も注目を集め、「飲みニケーション」という言葉には、強制・強要というネガティブイメージがついていく。さらに、バブル崩壊後は、「イッキ飲み」などが社会問題になり、この風潮にさらに追い打ちをかけた。

 このように「酒」に対する厳しい目が向けられた90年代前半から、入れ替わるように「パワハラ」が社会問題化していく。「パワハラ」という用語が生まれるのは2000年頃からだが、それ以前からネスレ配転拒否事件、オタフクソース過労死事件など、後に「パワハラ事件」とされているものが90年代から目立ち始めたのだ。

 厚生労働省の「平成28年度 職場のパワーハラスメントに関する実態調査」の報告書によると、パワーハラスメントに関する相談があった職場に当てはまる特徴として、45.8%と最も多かったのが、「上司と部下のコミュニケーションが少ない職場」である。