それが今、女性のパターンに近づいたのは、10年ごとに体調の異変をもたらすような仕事や生活上の無理が少なくなったためか、あるいは健康への配慮や医療の発達で10年ごとの危機を皆が乗り越えるようになったためか、いずれかであろう。

戦前は65歳未満で
死ぬ確率の方が高かった

 しかし、高齢になって何歳頃に死ぬ確率が高いかということを議論すること自体、近年、初めて可能となった状況だということを次に示そう。

 図3は、人口動態統計をできるだけ過去にさかのぼって年齢別死亡者数の推移を追ったものである。最近、85歳以上で死亡する人の数が多くなっている点が目立っているが、逆に、戦前は、高齢になって死ぬ人より、65歳未満で死ぬ人の方が多かったことが端的に示されている。

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 戦前は、劣悪な出産環境の中で乳児(ゼロ歳児)の死亡が非常に多く、また子どもや青壮年期にも、事故などのほか、伝染病や食中毒など感染症で死亡する人が非常に多かったので、老人になって死ねる人は、むしろ多くはなかったのである。

 このため、戦前の人口は現在の半分だったにもかかわらず、戦前の死亡者数のピークは現在を越えていた。世界的に流行した「スペイン風邪」とよばれたインフルエンザによって急増した1918年の死亡者数149万人の記録は、2016年の死亡者数131万人をなお上回っているのである。