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田村耕太郎の「坂の上に雲はない!」

デフレの本当の怖さはこれだ!
自己保身に走る日本の中枢

田村耕太郎
【第31回】 2011年10月12日
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全てが増え続けるインフレ経済

 F1観戦も兼ねたコンフェレンス参加のため、1年ぶりにシンガポールを訪れた。街中に活力をみなぎらせるシンガポールに来て、色々考えさせられた。シンガポールは全てにインフレ気味だ。人口も増え、少しではあるが、埋め立てで面積も増え、人々の資産もGDPも増える一方だ。ついでにいえば、観光客もそれを引き付けるアトラクションもどんどん増えている。街中にクレーンが溢れ次々に新しいビルが、スポットが生まれている。政治家も官僚もビジネスマンも政治家も学者も適度に危機感を保ちながら、自信にあふれている。

 シンガポールをはじめアジアの都市では屋上レストランがブームだ。超高層ビルの屋上にあり、オープンエアの街を見下ろすテラスを持つレストランだ。そのレストランに行ってみれば、人々が屋上レストランを好む意味はよくわかる。シンガポールの新名所、マリーナサンズの屋上のクラブでもあるレストラン、その名もクーデター。テラスから見下ろすシンガポールの街並みは常に変わるのだ。動力でグルグル回転する展望台にしなくても、たまに来れば街並みの変化がわかり、街のエネルギーを眺め感じながら食事をしているだけで自分も自信に満ち溢れてくる!

 こういうインフレなエネルギーは、日本人では私のようなバブル世代がしっくりくるのだと思う。世界では常にバブルが生まれているのだが、日本では、残念ながらあれ以来バブルを感じることはできない。それを象徴するようなエピソードに出会った。日本で成功を収めた起業家たちの多くが、今シンガポールに集結している。税制や規制で海外ビジネスを優遇するシンガポールを拠点に世界に出ていこうという日本人起業家が多いのだ。素晴らしいことだ。しかし、彼らのうち何人かは壁にぶち当たっている。それは、インフレ経済の中で、デフレビジネスで成功することの難しさだ。

アジアで受けないデフレビジネス

 日本では大躍進の格安ビジネスやコストカットのコンサルタント等の、いわゆるデフレビジネス。その多くはデフレしか知らない世代の起業家だ。彼らと懇談する機会があった。「我々が小学生や中学生の頃にはバブルが崩壊して、物心ついてからデフレしか知らない。インフレ真っ只中のシンガポール経済はびっくりです。安さやコストカットを評価してくれる顧客ももちろんいますが、高くても売れそう。いや高い方が売れそう。それに家賃は上がる一方です。ビジネスモデルを変えないと生きていけない」と口を揃える。

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田村耕太郎

エール大学、ハーバード大学元研究員。
世界で最も多くのノーベル賞受賞者を輩出したシンクタンク、ランド研究所にて唯一の日本人研究員を務めた。新日本海新聞社相談役。前大阪日日新聞代表取締役社長。国立シンガポール大学公共政策大学院元研究員。
‘02年から‘10年まで2期参議院議員を務める。その間、内閣府大臣政務官(経済財政・金融・地方分権・再チャレンジ各担当)、参議院国土交通委員長を歴任。
著書には『君は、世界を迎え撃つ準備ができているか?』『君は、こんなワクワクする世界を見ずに死ねるか!?』などがある。

 

 


田村耕太郎の「坂の上に雲はない!」

欧米だ、シンガポールだ、韓国だ、中国だ、そんなことを言っても、キャッチアップのモデルはもはや世界に存在しない。日本は日本の現状に合わせて自らをモデルチェンジするしかない。坂の上にもはや雲はない!

「田村耕太郎の「坂の上に雲はない!」」

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