日本銀行が「2%物価目標」の旗を降ろせず、国債を買い続けるのはなぜなのか。「官邸主導」の下で異次元緩和を修正すれば、アベノミクスの失敗を認めることになりかねないからだとの声もある。政治に対する「独立性」はどこまで維持されているのか。DOL特集「砂上の楼閣 日本銀行」4回目では、今年7月に退任するまで「異次元緩和」の拡大に反対し続けた、前日銀政策審議委員の木内登英・野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミストに「内側から見た日銀」を聞いた。(聞き手 ダイヤモンド・オンライン特任編集委員 西井泰之)

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政策委員会の議論には
最初から違和感があった

──黒田東彦・総裁就任後に始まった「異次元緩和策」を拡大することに、反対票を投じていました。

 審議委員になったのはその約半年前ですが、日銀内でなされていた議論には最初から違和感がありました。

 本来の金融政策の役割は、実体経済が、望ましい物価水準や需給ギャップと乖離していれば、それを修正することです。そういう意味で、本来は「短期的」な手段なのですが、政府は日銀に「脱デフレ」の責任を負わせ、構造的な変化を促す“手段”として使おうとしていました。