「肉食系」「草食系」に変わって、イマドキ男子を規定する言葉として定着しつつある「ロールキャベツ男子」。外見はさわやかな草食系だが、中身は積極的な肉食系(だが加工され、食べやすいひき肉)。俳優の向井理や瑛太に代表されるそんな男子が、「理想の男子像」というわけだ。

 だが最近、男子だけではなく女子も「ロールキャベツ化」しているのではないかと推測される調査結果が公表され、話題になっている。調査結果を公表し、「女子のロールキャベツ化」を指摘したのは、ヘアケア商品などを開発する株式会社マンダム。2011年7月にヘアメイクブランド「ルシードエル」開発の背景となる「20代女性 おしゃれ意識調査」を実施、全国の20代女性207名に対し、インターネットでリサーチ、結果を9月末に公表した。

「自分は草食系だと思いますか? 肉食系だと思いますか?」――「草食・肉食使い分け派=ロールキャベツ女子」は22.7%。10人いたら2 人以上は……ということか。

 この調査において、「自分は草食系だと思いますか? 肉食系だと思いますか?」という質問に対し、「肉食系(どちらかというとを含む)」と答えた人が32.9%に対し、「草食系(どちらかというとを含む)」は43.5%。「草食系」がわずかに上回ったが、問題はここから。「相手によって肉食・草食を使い分ける」という人が22.7%といたというのだ。

 そして、「外見はキャベツのようなしなやかな草食系。しかし、その中身はミンチ肉のような肉汁たっぷりの肉食系のロールキャベツ女子」というような声が上がったのだ。

 ここでまず押さえておきたいことは、「ロールキャベツ男子」が女子の理想の男子像として規定されているのに対し、「ロールキャベツ女子」は“自己申告”であること。言ってみれば、どちらも女子側からの発信だ。

 もっと言えば、「草食・肉食を使い分ける」という声に表れているように、女子は意識的に自らを「ロールキャベツ化」しようとしているのだ。その意味では、女子の場合、「ロールキャベツ化している」というより、「ロールキャベツ志向がある」と言ったほうが正確だろう。

 その上で注目したいのが、「ロールキャベツ志向」の先にある“目的だ”。男子の目的が「ロールキャベツ男子を目指す」ことだとすれば、その発想の根底にあるのは、「女子の視線」。有体に言えば、目的は、「モテ」だと言えるだろう。だが女子の場合は、少々事情が違うようだ。

 同調査によると、「幸せな将来において重要だと思うものは何ですか」との問いに対して、「両親を大切に」(68.6%)、「幸せな家庭を築くこと」(67.6%)という、極めて堅実な答えが上位を占めている。すなわち、イマドキ女子が自らを「ロールキャベツ化」させて狙う着地点は、「家族との絆」「家庭」だと読み解ける。

 調査を実施したマンダムでも、「彼女たちは、ただモテたいだけではなく、先行き不安だからこそパートナー探し、“婚活・恋活”は真剣な人生の選択と認識し、前向きな『たくらみ女子』となっている」と分析している。すなわち女子の場合、ロールキャベツの中身の肉は、将来を見越した「たくらみ」だということだ。

 ちなみに、ロールキャベツになろうとしたのに失敗して、肉=「たくらみ」が露骨に見えてしまう女子を、「アスパラベーコン女子」と言うらしい。男性の皆さん、今に始まったことではないが、女子はやっぱり……なかなかに手強いですよ。

(梅村千恵/5時から作家塾(R)