少子高齢化の日本では、中長期的な国の発展にとって教育の重要性はますます高まるであろう。その中で中学・高校は一貫教育の6年を義務教育として、かつ「飛び級」を認めるのが望ましい。そして成人年齢も18歳に引き下げる。これはグローバルで見ても決しておかしくはないだろう。

 前回は高等教育(大学・大学院)の改革について論じたので、今回は初等・中等教育の改革について触れてみたい。

 OECDの報告によると、わが国は高等教育における家計負担の割合(50.7%)が最も高い国の一つであるが、それに加えて、就学前教育についても家計負担の割合(38.8%)が際立って高い。

 そもそも教育費については、理想論を述べれば、初等教育から高等教育まですべて無償化が望ましいが、現在のわが国の財政状況に鑑みれば、それは絵に描いた餅という他はない。教育の無償化は社会保障・税一体改革がある程度実現された後のテーマであろう。しかし、就学前教育の家計負担の重さは、少子高齢化対応という政策課題と照らし合わせて考えると、大学・大学院改革と並ぶ喫緊の重要性を持っているように思われる。

フランスのシラク3原則に学べ

 少子高齢化対応については、以前「駅に24時間営業の保育所を!」と題して私見を述べたので、ここでは繰り返さないが、フランスのシラク前大統領が述べた、少子化対応の3原則を思い出してみよう。

  1.子どもを持つことによって新たな経済的負担が生じないようにする
  2.無料の保育所を完備する
  3.3年後に女性が職場復帰するときは、その3年間、ずっと勤務していたものと見なし、企業は受け入れなくてはいけない

 このフランスの少子化対応3原則はすべてもっともで、かつ、高い普遍性を持つと考えるが、待機児童数が一向になくならないわが国の現状を想起すれば、就学前教育について何よりも優先されるべき課題は「無料の(≒コストのあまりかからない)保育所を完備する」ことに尽きるのではないか。あれもこれもではなく、まずは、この「一点に絞って」政府には英知を傾けてほしいと願わずにはいられない。