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出口治明の提言:日本の優先順位
【第25回】 2011年10月25日
著者・コラム紹介バックナンバー
出口治明 [ライフネット生命保険(株)代表取締役会長]

義務教育は12年で「飛び級」を認め
成人年齢は18歳に引き下げよ

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 少子高齢化の日本では、中長期的な国の発展にとって教育の重要性はますます高まるであろう。その中で中学・高校は一貫教育の6年を義務教育として、かつ「飛び級」を認めるのが望ましい。そして成人年齢も18歳に引き下げる。これはグローバルで見ても決しておかしくはないだろう。

 前回は高等教育(大学・大学院)の改革について論じたので、今回は初等・中等教育の改革について触れてみたい。

 OECDの報告によると、わが国は高等教育における家計負担の割合(50.7%)が最も高い国の一つであるが、それに加えて、就学前教育についても家計負担の割合(38.8%)が際立って高い。

 そもそも教育費については、理想論を述べれば、初等教育から高等教育まですべて無償化が望ましいが、現在のわが国の財政状況に鑑みれば、それは絵に描いた餅という他はない。教育の無償化は社会保障・税一体改革がある程度実現された後のテーマであろう。しかし、就学前教育の家計負担の重さは、少子高齢化対応という政策課題と照らし合わせて考えると、大学・大学院改革と並ぶ喫緊の重要性を持っているように思われる。

フランスのシラク3原則に学べ

 少子高齢化対応については、以前「駅に24時間営業の保育所を!」と題して私見を述べたので、ここでは繰り返さないが、フランスのシラク前大統領が述べた、少子化対応の3原則を思い出してみよう。

  1.子どもを持つことによって新たな経済的負担が生じないようにする
  2.無料の保育所を完備する
  3.3年後に女性が職場復帰するときは、その3年間、ずっと勤務していたものと見なし、企業は受け入れなくてはいけない

 このフランスの少子化対応3原則はすべてもっともで、かつ、高い普遍性を持つと考えるが、待機児童数が一向になくならないわが国の現状を想起すれば、就学前教育について何よりも優先されるべき課題は「無料の(≒コストのあまりかからない)保育所を完備する」ことに尽きるのではないか。あれもこれもではなく、まずは、この「一点に絞って」政府には英知を傾けてほしいと願わずにはいられない。

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出口治明 [ライフネット生命保険(株)代表取締役会長]

1948年、三重県美杉村生まれ。上野高校、京都大学法学部を卒業。1972年、日本生命保険相互会社入社。企画部や財務企画部にて経営企画を担当。生命保険協会の初代財務企画専門委員会委員長として、金融制度改革・保険業法の改正に従事。ロンドン現地法人社長、国際業務部長などを経て同社を退職。その後、東京大学総長室アドバイザー、早稲田大学大学院講師などを務める。2006年にネットライフ企画株式会社設立、代表取締役就任。2008年に生命保険業免許取得に伴い、ライフネット生命保険株式会社に社名を変更、同社代表取締役社長に就任。2013年6月24日より現職。主な著書に『百年たっても後悔しない仕事のやり方』『生命保険はだれのものか』『直球勝負の会社』(以上、ダイヤモンド社)、『生命保険入門 新版』(岩波書店)、『「思考軸」をつくれ』(英治出版)、『ライフネット生命社長の常識破りの思考法』(日本能率協会マネジメントセンター)がある。

ライフネット生命HP

 


出口治明の提言:日本の優先順位

東日本大地震による被害は未曾有のものであり、日本はいま戦後最大の試練を迎えている。被災した人の生活、原発事故への対応、電力不足への対応……。これら社会全体としてやるべき課題は山積だ。この状況下で、いま何を優先すべきか。ライフネット生命の会長兼CEOであり、卓越した国際的視野と歴史観をもつ出口治明氏が、いま日本が抱える問題の本質とその解決策を語る。

「出口治明の提言:日本の優先順位」

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