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出口治明の提言:日本の優先順位
【第24回】 2011年10月18日
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出口治明 [ライフネット生命保険(株)代表取締役会長]

教育改革は、企業や社会が取り組むべき課題である

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 わが国の教育については、まさに百家争鳴という言葉がピッタリするのではないか。「ゆとり教育の弊害」を声高に叫ぶ人もいれば、「教育の格差」に焦点を当てる人もいる。初等教育、中等教育、高等教育のすべてがそれぞれ深刻な問題を抱えているが、どこから手をつければいいのか戸惑う向きも多い。今回は、教育問題について考えてみたい。

教育の目的は時代によって変化する

 教育の本質は、人間が自立する手段、もしくは技術を与えることにある。

 一般に、高等教育を受けた人は所得が高く(日本の大学修了者は高校修了者より68%所得が高い)、失業率も低い(OECD平均で高等教育修了者の常勤雇用率は10%高い。以下同じ)。また、人生に対する満足感(17.6%満足度が高い)や社会への参画意識(13.2%選挙投票率が高く、9.2%ボランティア参加率が高い)が高く、自ら健康であるとの認識を持っている(出所:図表でみる教育 OECD インディケータ(2011年版))。

 このように、教育のもたらす一般的な経済的効果や社会的効果は、ある程度数字で裏づけがなされている。

 ところで同時に、教育の目的が時代によって変化していくこともまた真実であろう。たとえば20世紀後半の半世紀、わが国が敗戦による焦土から奇跡の経済復興を遂げる過程では「アメリカに追いつき追い越せ」という明確な国家目標があり、市民はチームワークを維持しつつ、ひたすら勤勉に働き続ける資質が何よりも要請された。

 しかし、21世紀のわが国は、急激な少子高齢化や財政の悪化など、人類がこれまで経験したことのない、いわば未踏の領域に足を踏み入れつつある「課題先進国」となってしまった。もはや参照すべきモデルは世界のどこの国にも見当たらない。自らの頭で解決策を考え出していくしか他に方法はない。このような状況下では、何よりもゼロベースで考える能力が、教育には要請されているのではないだろうか。

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出口治明 [ライフネット生命保険(株)代表取締役会長]

1948年、三重県美杉村生まれ。上野高校、京都大学法学部を卒業。1972年、日本生命保険相互会社入社。企画部や財務企画部にて経営企画を担当。生命保険協会の初代財務企画専門委員会委員長として、金融制度改革・保険業法の改正に従事。ロンドン現地法人社長、国際業務部長などを経て同社を退職。その後、東京大学総長室アドバイザー、早稲田大学大学院講師などを務める。2006年にネットライフ企画株式会社設立、代表取締役就任。2008年に生命保険業免許取得に伴い、ライフネット生命保険株式会社に社名を変更、同社代表取締役社長に就任。2013年6月24日より現職。主な著書に『百年たっても後悔しない仕事のやり方』『生命保険はだれのものか』『直球勝負の会社』(以上、ダイヤモンド社)、『生命保険入門 新版』(岩波書店)、『「思考軸」をつくれ』(英治出版)、『ライフネット生命社長の常識破りの思考法』(日本能率協会マネジメントセンター)がある。

ライフネット生命HP

 


出口治明の提言:日本の優先順位

東日本大地震による被害は未曾有のものであり、日本はいま戦後最大の試練を迎えている。被災した人の生活、原発事故への対応、電力不足への対応……。これら社会全体としてやるべき課題は山積だ。この状況下で、いま何を優先すべきか。ライフネット生命の会長兼CEOであり、卓越した国際的視野と歴史観をもつ出口治明氏が、いま日本が抱える問題の本質とその解決策を語る。

「出口治明の提言:日本の優先順位」

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