![日本はもう終わり?→東大生が教える「イマドキの学生」3タイプの反応](https://dol.ismcdn.jp/mwimgs/b/c/650/img_bce53fea67f593690651a2f6507aa287373879.jpg)
三田紀房の受験マンガ『ドラゴン桜2』を題材に、現役東大生(文科二類)の土田淳真が教育と受験の今を読み解く連載「ドラゴン桜2で学ぶホンネの教育論」。第26回は「日本は終わった国なのか」について考える。
大学生の反応は「3つ」に分かれる
龍山高校改革を議論する理事会の場で、東大合格請負人・桜木建二は理事長代行・龍野久美子を「大バカ者」と侮辱する。桜木は、日本社会は一発試験という受験システムの延長上に出来上がっているからこの国は100年たっても変わらない、と力説する。龍野は「もう日本の教育に投資する価値はない」「そもそも日本は終わった国」と諦観する。
はたして、日本はもう終わった国なのだろうか。全ての大学生がそうなのかはわからないが、友人との雑談の中でこのような話題が出ることは少なくない。
このテーマに対する私の周りの大学生たちの反応は、大体3つに分かれる。
まず、あきらめる。「俺たちが死ぬまではなんとか保っていてくれれば」。そんな声を聞くたびに何か虚しくはなるが、とはいえ「そんなに悲観的になるなよ」ともいえないのが現実だ。
次に海外に活路を見出す人たちだ。「日本にいるのは不安すぎるから必死に努力してお金をためて海外に移住しよう」という意見も冗談には思えない。もちろん、海外移住は決して楽な選択肢ではないことはわかっているだろう。むしろ、その楽でない選択肢を真剣に考慮していることに、ことの重大性が潜んでいる。
最後に、心強くも「俺がなんとかしてやる」という人が一定数いる。学生起業をしている人や、社会活動を行っている団体の運営に話を聞くと、しきりに「日本の国際的地位の低下」というような言葉を口にする。
「日本はこのままではまずい、だから自分がなんとかするんだ」。もちろん、このような「憂国の士」は今に始まったことではない。時代ごとに異なる思想を携え、時には社会や権力と衝突しながら歴史の表裏を彩ってきた。
あえて挑戦的なことをいうと、以前と比べると若者が社会変革の先頭に立つことが制度的・技術的に容易であり、また官民でそれを支援する体制が整っているように感じる。
経済産業省の「J-Startup」や文部科学省の「トビタテ!留学JAPAN」、民間が支援する「MAKERS-UNIVERSITY」など具体例を挙げると枚挙にいとまがない。
既存の枠組みを変える覚悟はあるか
![漫画ドラゴン桜2 4巻P49](https://dol.ismcdn.jp/mwimgs/1/b/971/img_1b5d44aff8e6497ea015e498acdc69cd714302.jpg)
大きいことを言うようだが、今求められているのは新しいことを始める勇気はもちろんのこと、既存の枠組みを変える、時には終える覚悟なのではないだろうか。そしてその覚悟は幸か不幸か、我々若者は持ち得ないものである場合が多い。
私はその具体例を、こども家庭庁などが最近実施した「こども若者★いけんぷらす」の取り組みにみてとる。学習指導要領の改訂に合わせ、実際の生徒たちの意見を取り入れるという取り組みである。
教育の真の当事者である児童・生徒の意見を聞くことは極めて重要なことだ。とはいえ、生徒たちが受けている教育をどの程度相対化し、言語化できるか、また意見を聞く側がどの程度それらを汲み取れるのかはまた別の問題だ。
そうでなくとも、ただ声を聞けばいいというものではない。学習指導要領が諮問される文部科学省の中央教育審議会のメンバーには教育現場の関係者も多く、聞こうと思えば現場の教員の意見を強く反映させたものにもできたはずだ。
SNSをはじめ、多くの場で現場の教員から問題提起がされているのにも関わらず、昨今話題になっている教員の超過労働や学力格差は未だ解決に至っていない。
もちろん、これらの問題は学習指導要領を超えた教育制度全体の構造や、社会・経済的要因が関係している。ただ、この問題を本気で解決しようとするならば、全国規模で意見を聞くべきは生徒以上に先生方なのではないだろうか。
日本が既に「終わった国」なのかはわからない。ただ間違いなく言えるのは、日本が「終わる国」になるかどうかの分水嶺は、常に今であるということだ。
![漫画ドラゴン桜2 4巻P50](https://dol.ismcdn.jp/mwimgs/d/f/969/img_df588b72b248f6abb52ff05c273c87f21029484.jpg)
![漫画ドラゴン桜2 4巻P51](https://dol.ismcdn.jp/mwimgs/4/4/972/img_44147efc4d23510576e7d8ca74b8fa04821495.jpg)