古から今も変わらず慣習、習慣を受け継ぎながら、流々とした時を刻む町京都祇園。時代を超えて私たち日本人の心を惹きつける「粋の文化」を祇園に入り浸る著者が「かっこいいおとな」になるために紡ぐエッセイ。第12回は、会食での振る舞い方についてお届けいたします。

会食でわかる「気遣い」ができる人とできない人撮影/福森クニヒロ 祇園 槇子

会食での粋な振る舞い方とは?

 11月ともなると気が早いと思いつつ、年末を意識してしまいます。街はイルミネーションや年の瀬に向けての準備に怠りないようですが、花街でも同様とまではいわないまでも、忘年会や暮れの宴席の予約で準備が慌ただしくなります。

 花街での忘年会や宴席となるとお茶屋さんや料理屋さんとお決まりで、お茶屋の手配で宴席が取り仕切られます。所謂お座敷での宴席となるのですが、一般的には会席料理が出され、少人数であれ大勢の宴席であれ、座卓や高台の御膳でいただくことになります。

 会席の席で常々思うことがあるのですが、格好良いというか、綺麗な食事の仕方というものは一体どういうものでしょうか。お箸と器の持ち方はとても重要で、お箸をまるでドラえもんのように握りどうやって食べ物を摘むのかと心配になったり、器をなんとも器用な持ち方で持ったりと、見ていてはらはらする時があります。

 順に出される料理を食べるわけでもなく、酒の肴だけに箸をつけ、いくつもの器を自分の前に溜め込むのは仲居さんやサービスの人にとっても迷惑な事なのでしょう。みなが同じタイミングで食べるのはどうかと思いますが、流れが読めないと料理を出すタイミングも難しくなります。料理屋泣かせなのです。温かいものは温かいうちにいただきたいものです。