後輩を居酒屋で説教――キリンビールの営業マンの姿を追った「ガイアの夜明け」のワンシーンが、ネットで炎上している。しかし、「飲みニケーション」は忌むべき慣習どころか、これが減ったことと、パワハラの増加に関係があるとの調査結果もある。(ノンフィクションライター 窪田順生)

キリンビールの居酒屋説教はパワハラ!?
テレビ番組がネットで炎上

「飲みニケーション」減少がパワハラを増やしたキリンビール営業マンの居酒屋説教シーンにアレルギー反応を示すネット民が多数いるが、「飲みニケーション」そのものを否定すると、逆にパワハラが増えるという恐ろしい調査結果も出ている

 あれでますます部下や後輩を飲みに誘うのが怖くなったという方も多いのではないか――。

「あれ」とは、9月5日に放映された「ガイアの夜明け」(テレビ東京)のなかで、キリンビールの営業マンが目標達成できていない後輩を居酒屋で説教する映像が流れたことが、「炎上」した件である。

 ご存じない方のために説明すると、この日の「ガイア」では「異変の夏…“激闘”シェア争い!」と題して、アサヒビールからシェアトップを奪還するために奮闘するキリンビールの社員たちの姿を放映。そのなかで、「前年比150%」という目標が達成できておらず、特に打開策もないと社内会議で報告をした1人の営業マンが、会議後に先輩社員に居酒屋に連れてこられる場面があった。

「本当の会議が始まります」というナレーションが流れるや、ビールジョッキ片手に先輩社員は以下のような厳しい言葉を営業マンに投げかける。

「覚悟が足らん、一言でいうとそれやぞ」
「10年後の会社を支えるのは俺らの世代だからさ。お前が今のまま10年後上がられたら、下の子がついてこない。『できない、知らない、やだ』そんなやつにリーダーをやってほしくないから厳しくしている」
「やってないねん。お前どんだけやっとんねん。やれや、できるやろ」

 思わず目に涙を浮かべる営業マン。店から出た営業マンは、先輩や同僚たちから「お疲れさまです、150(%)?」「200(%)!イエー!」「がんばれ!」などと「叱咤激励」されつつ家路につく――というこのくだりが、ネット上で「説教するなら会議でやればいい」「酒飲んで精神論をふりかざしてもなんの効果もない」「パワハラがひどすぎる」などと批判が寄せられているのだ。