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岸博幸のクリエイティブ国富論

「除染を巡る独法の中抜き」を検証する

岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]
【第162回】 2011年11月4日
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 福島県では放射線を除染する作業が進められており、そのために様々な予算措置が講じられています。その中で、独立行政法人に除染事業を委託した予算について、その一部が中抜きされているのではという懸念があります。行政改革がなかなか進まない中、除染に使われる予算でも本当に中抜きが行なわれているとしたら、由々しきことではないでしょうか。

関係者の主張

 その独立行政法人は、日本原子力研究開発機構(以下「原研」と略す)です。この問題を指摘したみんなの党の渡辺喜美先生によると、第2次補正予算の予備費から除染モデル事業として118億円が原研に委託されましたが、原研を所管する文部科学省から渡辺先生がヒアリングしたところ、118億円は以下のように使われるとのことでした。

除染に関する部分(再委託など)                 92億円
(再委託は1市町村あたり6億円×12地域=72億円)
除染計画策定にあたっての詳細モニタリング  6億円
除染技術公募                                        3億円
一般管理費                                           5億円
人件費                                                 6億5000万円
消費税                                                 5億円

 即ち、118億円のうち、再委託関係での差額20億円(92-72)、原研が行なうモニタリングの6億円、更に人件費と一般管理費を合計すると、予算118億円のうち37.5億円が実際の除染に使われないことになります。

 このため、渡辺先生は「原研に委託される予算118億円のうち37.5億円が原研に中抜き(ピンハネ)されている」と記者会見で厳しく批判しました。それを受け、私もあるテレビの番組の中で同様の指摘をしました。

 すると、原研は渡辺先生ではなくテレビ局に対して「事実誤認であり中抜きはない」と言ってきたので、渡辺先生は今週、臨時国会の代表質問で「ピンハネではないか」と野田首相に質問をしました。それに対する野田首相の答弁は、以下のとおりです。

 「当該事業の予算は現時点では支出されておらず、事業実施後に、仕様書等に基づく経費であって当該事業に使用されたことが帳票等で確認できるものに限り、国が必要額を支出することとなっています。

 そのため、事業に要した経費以外の費用を他の用途に使うことはできませんし、また、ご指摘のような金額を日本原子力研究開発機構が最終的に受け取ることは、確定した経費に限り必要額を支出するという事業の性質上ありません」

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岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]

1986年通商産業省(現経済産業省)入省。1992年コロンビア大学ビジネススクールでMBAを取得後、通産省に復職。内閣官房IT担当室などを経て竹中平蔵大臣の秘書官に就任。不良債権処理、郵政民営化、通信・放送改革など構造改革の立案・実行に関わる。2004年から慶応大学助教授を兼任。2006年、経産省退職。2007年から現職。現在はエイベックス・マーケティング株式会社取締役、エイベックス・グループ・ホールディングス株式会社顧問も務める。

 


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