「安倍晋三記念小学校」は間違いだった――朝日新聞がまたもや真っ赤な嘘を報道したことが明らかになった。しかし、報道が歪んでいるのは朝日だけではない。「愛国マスコミ」の急先鋒である産経新聞だって、朝日と似たような間違いを犯してきたからだ。(ノンフィクションライター 窪田順生)

朝日がまたデマを広めた
森友問題で報じた「真っ赤な嘘」

愛国マスコミが反日マスコミを糾弾できない理由籠池氏の発言に丸乗りし、またもや間違いを犯した朝日新聞。しかし、偏向報道は「反日マスコミ」に限った問題ではなく、産経や読売といった「愛国マスコミ」にだってあふれている Photo:日刊スポーツ/アフロ

 朝日新聞は、慰安婦報道で「吉田清治」という稀代の詐話師にひっかかった教訓を、残念ながら今回も生かせなかったようだ。

 森友学園問題で注目を集めた、黒塗りの設立趣意書に記された「校名」。「朝日新聞」は籠池泰典氏の「安倍晋三記念小学校」だという主張をそのまま報道していたのだが、このたび籠池氏の主張が真っ赤な嘘で、「開成小学校」だったことが判明。愛国心溢れる方たちから「デマを広めた責任を取れ!」と怒りの声が沸き上がっている。

 そう聞くと、朝日の黒歴史「従軍慰安婦報道」を想起する方も多いことだろう。

 軍の命令で「朝鮮人狩り」をおこない、さらってきた950人の朝鮮人女性を「戦場に運び、1年2年と監禁し、集団強姦し、そして日本軍が退却する時には戦場に放置した」という吉田清治という人物の語った「デマ」をそのまま報道。これが中国や韓国でおこなわれていた「日本軍=強姦と略奪が三度の飯より好きな組織」というネガキャンのナイスアシストとなった側面は否めない。

 この問題を検証した「慰安婦報道検証 第三者委員会」は報告書で、「通常であればそのような判断はしないであろうと思われる場面で、記者が簡単に誤った事実判断に陥ったことが見られた」「慰安婦問題が政治課題となるよう企図したことは明らかである」と指摘し、「先入観が事実の選択を誤らせることの自覚」を促した。

 要するに、いくら日本政府に、中国や韓国に対する謝罪や賠償を明言させたいからといって、「日本軍は悪の組織なんだからレイプくらいしてもおかしくない」というような、「結論ありき」の取材は改めなさいよ、というわけだ。