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岸博幸のクリエイティブ国富論

もしも私が民主党と財務省の応援団だったら

岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]
【第167回】 2011年12月9日
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 消費税率引き上げを目指す野田首相は、「社会保障・税の一体改革」の素案を、年内を目処に取りまとめるよう指示を出しました。私は、消費税増税が最優先の経済財政運営には反対ですが、あまり反対ばかりを叫んでも虚しいですし、いずれかのタイミングで消費税増税が必要なことも事実なので、もし私が民主党と財務省の応援団だったら、消費税増税の実現に向けてどういう提案をするだろうかを考えてみました。

増税に先行した
デフレ脱却の約束を

 私が消費税増税を最優先することに反対する最大の理由は、デフレ下で増税したらデフレが更に悪化するからです。それは経済成長率の低迷につながりますので、雇用や生活に悪影響があるのみならず、税収も期待したほどには増えない可能性もあります。

 実際、1997年に消費税率が3%から5%に引き上げられましたが、政府の一般会計の税収は、97年の約54兆円をピークに、翌年以降現在に至るまで税収が54兆円を超えたことはありません。

 そう考えると、消費税を増税しながらも、同時にデフレを克服する道を探らなくてはなりません。

 ちなみに、第3次補正予算が成立し、総額12兆円のうち9兆円が被災地の復興や円高対策に使われます。GDP比2%の財政支出が行なわれるので、欧州危機や円高に足を引っ張られつつも、来年の日本の景気はある程度良くなり、経済成長率も悪くないでしょう。

 しかし、来年度の国債発行額(≒財政出動)が44兆円と今年度の約56兆円(第3次補正後)に比べて大幅に減少することも考えると、再来年以降の日本経済は非常に厳しい状況に置かれることが確実です。

 従って、14年度頃からの消費税増税と引き換えに、政府・与党が責任を持って日銀に金融緩和を来年早々から行なわせるようにすべきではないでしょうか。デフレ脱却を目指すことに加え、消費税増税の経済へのマイナスの影響をオフセットする位に大規模な金融緩和です。日銀法改正やインフレ・ターゲットの導入など、政府・与党の側にできることはたくさんあります。

 聞くところによると、財務省の中にも少なからぬ数の“リフレ派”がいるようですが、財務省だけで日銀を追い込むのは厳しいので、政治主導で消費税増税と同時に決着させるべきです。そうすれば、財務省に批判的で金融緩和を主張する高橋洋一氏などの批判もある程度抑えられるのではないでしょうか。

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岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]

1986年通商産業省(現経済産業省)入省。1992年コロンビア大学ビジネススクールでMBAを取得後、通産省に復職。内閣官房IT担当室などを経て竹中平蔵大臣の秘書官に就任。不良債権処理、郵政民営化、通信・放送改革など構造改革の立案・実行に関わる。2004年から慶応大学助教授を兼任。2006年、経産省退職。2007年から現職。現在はエイベックス・マーケティング株式会社取締役、エイベックス・グループ・ホールディングス株式会社顧問も務める。

 


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