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ゲーム業界において創業一代で世界ブランドを確立したカプコンの辻本憲三会長兼CEO。激変する業界への対応や、事業承継計画、自身の経験からくる人づくりへの思いなどを聞いた。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン編集長 深澤 献)

変化に対応するのではない、ゲーム業界は変化して当然だ

――ゲーム業界は、ハードウェア性能の向上もドッグイヤー的に加速しているだけに、変化への対応如何で業績も業界地図も一夜にして変わりますね。

辻本 むしろ変化そのものがゲーム業界の本質です。今後10年、20年を俯瞰しても、現在では想像もつかないような変化に遭遇しているでしょう。

 特に日本では、子どもの頃からゲームを楽しんできた人たちが大人になると、いわばゲームを知り抜いていますので年齢層や時代のムードなどで趣味や嗜好が劇的に変わる可能性があります。ゲーム業界はそれに的確に対応できなければなりません。

 例えばカプコンの「モンスターハンター」は、「CERO:C(15歳以上を対象)」としているため、中学に入ったら始める人がいるけれど、中・高時代は受験があるのであまり時間がなく、大学生になってからコアユーザーになる人がものすごく多いのです。その結果として、ファン層は50歳ぐらいまで幅広くなっています。そうなると、ユーザーの嗜好や生活の変化なども加味していかないと売れるゲームにならないのです。

――そうした変化にも太刀打ちしていくために必要なことはどんなことですか。

辻本 まずいえるのが、「業界トップ」といえるものをなにか1つは持っていないといけないということです。ゲーム製品で日本のトップにとどまるのではなく、世界でブランド力を持ち、トップであることを目指します。

 ゲーム業界はM&Aが通用しません。ゲームの創造性や世界トップを狙うマーケティングは、M&Aで簡単に手に入るようなものではないからです。また、会社を大きくしても意味がありません。大きくしてしまうことで逆に会社がもたなくなることさえあります。足し算をして規模が大きくなるのと、ゲームの世界で存在感とブランド力を備えることは似て非なる話なのです。