10月末に京都・東山にて「WPHH JAPON 2017 in KYOTO」が開催された。のべ500人以上のゲストを出迎えたのは、フランク ミュラーのアイコンであるビザン数字が描かれた京提灯

──トゥールビヨンもいち早く手がけられましたね。
 時計師をアスリートだと思ってください。競争の世界です。で、一番難度と格調の高い機構がトゥールビヨンなんです。

 もともと懐中時計の複雑機構ですが、腕時計ケースに入る小さいものをこの手でつくりました。時計学校卒業以来、この機構で小型化をはじめあらゆる記録を樹立してきたんです。

 今生きている時計師でこの機構に関して私の右に出る人はいないと思います。

──あなたにとっての理想の時計はどのようなものですか。また、もしこれから作りたい時計があれば、その哲学も含めて教えてください。

 そもそも時間という概念は人間が作った。世の中はその時間で規定されて回っていく。だから、文字盤の数字の配列をランダムにした“クレイジー アワーズ”には、「自分のしたいことは自分のしたい時間にすればいいさ」というメッセージを込めて、既成概念に縛られたくない人に向けて作りました。

 理想の時計というわけではないけれど、ひとつの哲学を物語る時計です。(片目をつぶって)次に何を作るかは教えてあげない。火花のようにパチパチとアタマの中に閃いたら作るんです。