もはや「男の見せ場」なき若者に
購買のスイッチはあるか
前回ご紹介したように、一部で高級商材が売れているというお話はあるものの、世間一般では、「クルマが売れない」「お酒が売れない」「外食市場が伸びない」という企業の嘆きが聞かれます。最近のこうした嘆きは「クルマを買うなんてもったいない」「アルコールは赤ら顔になるから飲みたくない」「デートは高級レストランより家で鍋がいい」といった、現代の若者世代の消費行動特性に大きく起因しています。
「持続可能でサスティナブルな社会」が指向される流れのなかで、バブル期の大量生産、大量消費というライフスタイルはもはや時代遅れです。
クリスマスを過ごすためにローンを組んでまでクルマを所有し、本番前のロケハンにと日々おしゃれなレストランや夜景スポット、雰囲気のよいバーをリサーチして……。ある意味、バブル期のクリスマスは、さながら「女性への(主に経済的な)プレゼンテーション力を競う“男性力検定”」的な側面もあったため、男性の間では収入面でステップアップするために仕事も自分磨きもがんばろう、というモチベーションになっていたことも事実です。
ところが、クリスマスが男性にとって「自分の男としての価値を試される厳しい戦いの場」ではなくなった今、無理をしてクルマを買うことも、見栄を張って高級なレストランへ行く必要もなくなりました。
こうした時代の空気のなかで、今日の日本市場において、かつては主要な消費者層であった20~30代の男性を対象とするマーケティングが最も難しいといわれるようになりました。私も、さまざまな業種の企業からこの層に向けたマーケティング戦略立案の相談を受けますが、消費意欲がきわめて低い彼らのココロのスイッチを探すのは非常に難しく、いつも頭を悩ませています。
「居酒屋デートで割り勘」が当たり前に許される彼らの、消費行動へのモチベーションは一体どこにあるのでしょうか?
いろいろな調査で実感として見えてきたのは、「草食系男子」は、他人よりも上に見られたいという差別化願望や自己顕示欲が薄く、また、自分の生活を快適にするための「実質消費」や地球の害にならない「エコ消費」のような「自分に誇れる消費」を志向するということです。ゆめゆめ、バブル世代のような「他人に誇る消費」には興味がありません。
彼らに消費行動をうながすポイントは、「流行だから」「みんながやっているから」というアプローチではなく「あくまで自分の意思で、自ら選んだ」という「自分の選択への満足・納得」を喚起することが重要です。
自分のペースを守り、突出することを好まない「草食系男子」に、均一的な価値観を前提にしたバブル期のクリスマス理論は通用しません。冒頭の調査結果に見える「おカネをかけないクリスマスの過ごし方」は、今の若者のライフスタイルの一面を映し出していることは間違いないと思うのです。
