その代表例が、ゲオがエイベックス・デジタルと共同で2016年2月からサービスを開始した定額動画配信サービスの「ゲオチャンネル」だ。競争激しい動画配信事業だが、全国で1000店舗を超えるゲオの店舗網を生かしたサービスの提供や会員獲得などで、競合との差別化を図ると当初は意気込んでいた。

 ゲオチャンネルの会員獲得のために、ゲオは店頭での会員獲得数をノルマとして課した。店舗ごとの成績を公表して競わせるなど、過激なノルマが引き金となって、現場は大混乱に陥った。

 人手が少ない中、ゲオチャンネルの説明のために長時間を割くことで、ほかの業務にしわ寄せが及んだ。時には店舗にいる客を捕まえて勧誘を行うなど、過激な行為もあったという。「会社は、ゲオチャンネルの会員獲得のための活動を『サジェスト(提案)』と表現するが、店舗への指導の実態は“セールス”に近い。これではお客様にとっても快いはずがない」(前出関係者)

 ゲオチャンネルは、サービス開始からわずか1年半の17年6月にサービスを終了した。共同事業を展開していたエイベックス・デジタルは、ゲオチャンネル関連で約20億円の損失を計上した。唐突な施策に従業員が振り回された格好だ。

「現場の混乱を招く施策だけでなく、人事評価制度なども不透明で、モチベーションが維持できない社員は多い。組合を通して、少しでも会社の状況を良くしていきたい」と、ゲオユニオンの渡辺直樹執行委員長は言う。

 ゲオユニオンによれば、現在の組合員数は200人強(パート・アルバイト含む)。グループ全体で正社員の従業員が4000人程度いる中、今後はいかに規模を拡大していくかが焦点になる。

 この件に関して、ゲオホールディングスは本誌の取材に対し「組合の存在は把握している。今後、協議の場を設けることを積極的に検討していく。個別の要求に関しては、現時点ではコメントを差し控える」と語った。

 経営陣の“内乱騒動”で、何かとガバナンス不全が指摘されるゲオ。ついに声を上げた従業員の言葉に、経営陣は真摯に耳を向ける必要がある。