このところ、NTTドコモのCMを、まったく見ない。
テレビに限った話ではなく、ラジオでもそうだし、新聞紙面でも見かけないはずだ。空いた枠は、どうやらほとんどがACジャパンのCMに差し替えられている。
企業広告が差し替えられる理由はいくつかある。一つは、企業活動を通常通り進めるべきタイミングではないと判断されたとき。つまり東日本大震災の「ぽぽぽぽーん」である。
もう一つは、何か不具合や不祥事を起こした際の、自粛。これは別に法制度や業界内のルールがあるわけではなく、あくまで企業側の自主判断によるものだが、逆に言えば当事者がそれくらい重大な事態と認識しているということの裏返しでもある。
そんな残念な事態が、生じてしまった。先般報道されている、NTTドコモの「spモード事件」だ。
何が起きたのか
spモードとは、NTTドコモが提供する、スマートフォン向けインターネット接続サービス(ISP)である。スマートフォンでインターネットを利用する場合、物理的な接続回線の上に、インターネットを利用するためのサービスを導入しなければならない。光ファイバやADSL等で固定回線を利用する際、通信事業者以外にISPと契約して、はじめてWebやメールが利用できるようになるのと、概ね同じ構造だ。
今回不具合が生じたのは、このspモードのうち、メールに関する機能である。NTTドコモが12月27日付で発表した「spモード不具合に伴うお客様への影響と今後の対応について」と題した報道発表資料によれば、具体的に生じた障害とその対象顧客数は、以下の通りである。
1.メールアドレスが別のメールアドレスに置き換えられたお客様(A) : 6,878人
2.お客様(A)から受信したメールの送信者欄に別のメールアドレスが表示されたお客様(B) : 2,909人
3.お客様(A)のメールアドレスに置き換えられたお客様(C) : 6,894人
4.お客様(C)が圏外や電源断などでメールを受信できない間に、お客様(C)宛に送信したメールの一部を、お客様(A)に受信されたお客様(D) : 2,017人