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スマートフォンの理想と現実

年越しの「あけおめ」メールは自衛のためにも自粛を
多くの疑問符が残ったNTTドコモ「spモード事件」

クロサカタツヤ [株式会社 企/株式会社TNC 代表]
【第14回】 2011年12月28日
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 このところ、NTTドコモのCMを、まったく見ない。

 テレビに限った話ではなく、ラジオでもそうだし、新聞紙面でも見かけないはずだ。空いた枠は、どうやらほとんどがACジャパンのCMに差し替えられている。

 企業広告が差し替えられる理由はいくつかある。一つは、企業活動を通常通り進めるべきタイミングではないと判断されたとき。つまり東日本大震災の「ぽぽぽぽーん」である。

 もう一つは、何か不具合や不祥事を起こした際の、自粛。これは別に法制度や業界内のルールがあるわけではなく、あくまで企業側の自主判断によるものだが、逆に言えば当事者がそれくらい重大な事態と認識しているということの裏返しでもある。

 そんな残念な事態が、生じてしまった。先般報道されている、NTTドコモの「spモード事件」だ。

何が起きたのか

 spモードとは、NTTドコモが提供する、スマートフォン向けインターネット接続サービス(ISP)である。スマートフォンでインターネットを利用する場合、物理的な接続回線の上に、インターネットを利用するためのサービスを導入しなければならない。光ファイバやADSL等で固定回線を利用する際、通信事業者以外にISPと契約して、はじめてWebやメールが利用できるようになるのと、概ね同じ構造だ。

 今回不具合が生じたのは、このspモードのうち、メールに関する機能である。NTTドコモが12月27日付で発表した「spモード不具合に伴うお客様への影響と今後の対応について」と題した報道発表資料によれば、具体的に生じた障害とその対象顧客数は、以下の通りである。

1.メールアドレスが別のメールアドレスに置き換えられたお客様(A) : 6,878人
2.お客様(A)から受信したメールの送信者欄に別のメールアドレスが表示されたお客様(B) : 2,909人
3.お客様(A)のメールアドレスに置き換えられたお客様(C) : 6,894人
4.お客様(C)が圏外や電源断などでメールを受信できない間に、お客様(C)宛に送信したメールの一部を、お客様(A)に受信されたお客様(D) : 2,017人

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クロサカタツヤ[株式会社 企/株式会社TNC 代表]

1975年生まれ。慶應義塾大学・大学院(政策・メディア研究科)修了後、三菱総合研究所にて情報通信分野のコンサルティングや国内外の政策調査等に従事。その後2007年に独立し、現在は株式会社企(くわだて)代表として、通信・メディア産業の経営戦略立案や資本政策のアドバイザー業務を行う。


スマートフォンの理想と現実

2011年はスマートフォンの普及が本格化する年になる…。業界関係者の誰しもがそう予感していた矢先に発生した東日本大震災は、社会におけるケータイの位置づけを大きく変えた。しかし、スマートフォンの生産に影響が及びつつも、通信事業者各社はその普及を引き続き目指し、消費者もまたそれに呼応している。震災を受けて日本社会自体が変わらなければならない時に、スマホを含むケータイはどんな役割を果たしうるのか。ユーザー意識、端末開発、インフラ動向、ビジネスモデル等、様々な観点からその可能性と課題に迫る。

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