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西沢和彦の「税と社会保障抜本改革」入門

一体改革の第2工程=政府・与党が掲げる
新年金制度が直面するこれだけの大障害

西沢和彦 [日本総合研究所調査部上席主任研究員]
【第6回】 2012年1月17日
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今回の社会保障・税一体改革は年金制度改革に関し、2段階の工程が想定されている。第2段階は、全く新たな年金制度の創設である。政府・与党の念頭にあるのはスウェーデン型の年金制度と見えるが、そのまま日本に移入するには大きな障害が立ちはだかっている。

政府・与党が提唱する
新年金制度の2つの問題

 今回の社会保障・税一体改革は年金制度改革に関し、2段階の工程が想定されている。第1段階は「現行制度の改善」(但し改善とはいえないことは既に指摘した)であり、具体的には、低所得者への年金加算、パートタイム労働者の厚生年金への適用拡大、および、マクロ経済スライドの見直しなどである。これらは、本連載第5回までで採りあげた。

 第2段階は、現行制度に代わる全く新たな年金制度の創設である。政府・与党は、新年金制度創設のための法案を2013年度中に国会に提出するという従来からの方針を崩していない。もっとも、行方は極めて不透明である。今回は、この新年金制度を検討するとともに、より現実的な改革の視点を提示してみたい。

 民主党が提唱してきたのは、所得比例年金と最低保障年金の組み合わせによる全国民共通の年金制度である(図表1)。政府の説明を借りれば、所得比例年金は、収入に応じて支払われた保険料に基づき給付される。最低保障年金は、所得比例年金が一定額に達するまで、月額7万円が給付され、所得比例年金がそれを超えると、段階的に減少していく。こうした共通の年金制度に、全ての国民が加入する。所得比例年金、最低保障年金の財源は、それぞれ社会保険料、税である。

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西沢和彦 [日本総合研究所調査部上席主任研究員]

ニシザワ カズヒコ/1989年3月一橋大学社会学部卒業、同年年4月 三井銀行入行、98年より現職。2002年年3月法政大学修士(経済学)。主な著書に『税と社会保障の抜本改革』(日本経済新聞出版社、11年6月)『年金制度は誰のものか』(日本経済新聞出版社08年4月、第51回日経・経済図書文化賞) など。(現在の公職)社会保障審議会日本年金機構評価部会委員、社会保障審議会年金部会年金財政における経済前提と積立金運用のあり方に関する専門委員会委員。


西沢和彦の「税と社会保障抜本改革」入門

増加する社会保障費の財源確保に向けて、政府は消費税引き上げの議論を本格化させている。だが、社会保障をめぐる議論は複雑かつ専門的で、国民は改革の是非を判断できない状態に置かれている。社会保障の専門家として名高い日本総研の西沢和彦主任研究員が、年金をはじめとする社会保障制度の仕組みと問題点を、できるだけ平易に解説し、ひとりひとりがこの問題を考える材料を提供する。

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