中国資本による買収を英国人が意に介さない理由ロンドンのビルが相次いで中国・香港資本に買収されている

ロンドンの大型ビルを
相次いで中国・香港資本が買収

 ロンドンといえば世界の金融の中心。第2の金融街といわれるカナリーワーフで、昨年いくつかのビルが中国・香港資本によって買収された。「5チャーチヒル・プレイス」「20カナダ・スクエア」は中国の祥祺集団が、また「15カナダ・スクエア」は香港の建滔化工がビルオーナーになった。

 英国の名門ブランドも、次々と買収されている。ジャガーは2008年にインドに買われた。英国の大衆車ミニはドイツのBMWに買われ、ロンドンタクシーの製造会社は中国に買われた。日本の大手自動車メーカーの社員によれば、「2010年代初頭には、英国資本の自動車メーカーは消滅した」という。

 近年、英国では中国企業による買収が活発だが、「英国の名門ブランド」は、1980年代はアラブ資本に、90年代はロシア資本に買われてきた歴史がある。2000年代からはこれが中国資本に取って代わった。

 ロンドンに駐在歴を持つメガバンクOBは、「中国資本による買収も自然な流れ」だと語る。