ところが、旧JX・旧東燃、出光・昭シェルという大規模な業界再編でメンバーが減り、元売り各社は採算度外視の競争にまい進する必要がなくなった。

 17年夏ごろから元売り各社は量を追う戦略を転換。供給引き締めに動いたことで、元売り各社の流通マージンは一気に改善し、JXTGHDの石油製品1リットル当たりの営業損益(在庫影響を除く、12カ月移動平均)は過去最高水準の2円台へ急浮上した(図(4))。

 また、石油・天然ガス開発事業と金属事業も資源価格が上昇したことが追い風となって、収益は好調に推移。グループ内で計画値が未達となる事業がない状況になっている。

輸出で稼ぐためにも
製油所コスト削減は避けられない

 だが、手放しで将来を楽観することはできない。業界の最大の課題である、製油所の抜本的な合理化に着手できていないからだ。

 いま一度、図(4)を見てほしい。10年4月の旧JX発足直後の損益はマイナスだったが、一気に約3.5円改善し2円台に乗せている。だが、旧新日鉱HDとの統合効果は長続きせず、下降後再び2円台に戻すことはなかった。

 原因は、先述した安売り競争と石油製品需要の減少にある。安売り競争をやめ、大胆な製油所再編で供給過剰解消へ動けばよかったのだが、各地にある製油所は大量の雇用を抱える地元経済の要。抜本的な製油所の合理化には踏み切れず、旧JXは“だましだまし”の対症療法で数年をやり過ごしてきた。当然のことながら、統合直後のリストラ効果は消え失せ、旧JXの損益は14年初頭、ついにマイナスに転落した。

 そこで14年3月、旧JXは室蘭製油所の閉鎖に踏み切り、供給能力を削減。その効果は如実に表れ、再びプラスへ転じている。

 そして現在、JXTGHDの1リットル当たりの損益は2円台に改善しているが、これもまた、一時的な統合効果による“ご祝儀”の状態だとみるべきだ。つまり、旧JXの発足直後と同じ状態なのだ。

 安売り競争が終焉したという、以前との違いはある。かつて日量100万バレル以上あった「供給能力と需要の差」も52万バレルまで縮小した。それでも、需要減の傾向はいっそう強まるため、供給過剰はさらに深刻になるだろう。

 中国などの東アジアで石油製品需要が旺盛なため、輸出をにらんでこれ以上の製油所合理化による供給能力削減は不必要との見方もある。だが、東アジア諸国は最新鋭の製油所を持ち、コスト競争力は高い。JXTGHDはそれらに勝てなければ、輸出などできない。

 国内事業を盤石にし、海外展開をも視野に入れるならば、コスト競争力の強化は不可欠である。そのためには、長く置き去りにしてきた「製油所再編」という本丸の課題に着手するしかない。