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スマートフォンの理想と現実

「実はケータイって大したことないんじゃない?」
ドコモの大規模障害で見えてきた
消費者の潜在的批判意識

クロサカタツヤ [株式会社 企/株式会社TNC 代表]
【第17回】 2012年2月9日
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NTTドコモの障害が示す変化

 このところ、NTTドコモの通信障害が、全国的に相次いでいる。

 本稿を執筆している2月7日現在も、関西地域の6府県で、音声交換機の障害により一部利用者が音声通話を利用できない状況に陥ったようだ(その後ほどなくして復旧したとの報が入っている)。

 また首都圏では、1月26日午前から午後にかけて発生した大規模な通信障害が記憶に新しい。東京都心部を中心に、パケット交換機の障害により、FOMAの音声・パケット通信サービスが利用しづらい状況に陥り、最大で262万人に影響が及んだと発表されている。

 これまでケータイ事業者の中でも群を抜いて設備投資を手厚く進めてきたNTTドコモが、昨年末のspモードの障害を発端に、ここにきて障害を頻発させている。業界の常識からすれば、皮肉の一言では片付けられない「異常事態」といえる。

 この原因の一端がスマートフォンの普及爆発にあることは、本稿でもこれまで明に暗に触れてきた。特に1月末の首都圏での障害では、単にトラフィックの増大だけが課題なのではないということがはっきりした。メールのような間欠的な接続ではなく、VoIP(音声サービス)やWebサービス、ゲーム等、連続的な接続を求めるサービスが、台頭しつつあるのだ。

 通信インフラの側からすれば、従来のフィーチャーフォンとは異なる使われ方が広がっているということである。クルマにたとえるなら、保有者が増加しただけでなく、クルマの多機能化や安全性能の向上により車重や車幅が増加したため、道路の幅やカーブの角度、あるいはアスファルトや橋梁の強化といった「道路の基本性能」の総合的な向上が求められている、ということを意味する。

 スマートフォン時代の通信インフラは、基地局の容量(基地局1基が同時に対応できる端末の数)はもちろん、パケット交換の処理能力もより高いレベルが求められる。少なくとも単に「車線」を増やすだけでは、間違った設備投資となってしまう。NTTドコモの接続障害は、そのことを如実に表している。

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クロサカタツヤ[株式会社 企/株式会社TNC 代表]

1975年生まれ。慶應義塾大学・大学院(政策・メディア研究科)修了後、三菱総合研究所にて情報通信分野のコンサルティングや国内外の政策調査等に従事。その後2007年に独立し、現在は株式会社企(くわだて)代表として、通信・メディア産業の経営戦略立案や資本政策のアドバイザー業務を行う。


スマートフォンの理想と現実

2011年はスマートフォンの普及が本格化する年になる…。業界関係者の誰しもがそう予感していた矢先に発生した東日本大震災は、社会におけるケータイの位置づけを大きく変えた。しかし、スマートフォンの生産に影響が及びつつも、通信事業者各社はその普及を引き続き目指し、消費者もまたそれに呼応している。震災を受けて日本社会自体が変わらなければならない時に、スマホを含むケータイはどんな役割を果たしうるのか。ユーザー意識、端末開発、インフラ動向、ビジネスモデル等、様々な観点からその可能性と課題に迫る。

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