NTTドコモの障害が示す変化
このところ、NTTドコモの通信障害が、全国的に相次いでいる。
本稿を執筆している2月7日現在も、関西地域の6府県で、音声交換機の障害により一部利用者が音声通話を利用できない状況に陥ったようだ(その後ほどなくして復旧したとの報が入っている)。
また首都圏では、1月26日午前から午後にかけて発生した大規模な通信障害が記憶に新しい。東京都心部を中心に、パケット交換機の障害により、FOMAの音声・パケット通信サービスが利用しづらい状況に陥り、最大で262万人に影響が及んだと発表されている。
これまでケータイ事業者の中でも群を抜いて設備投資を手厚く進めてきたNTTドコモが、昨年末のspモードの障害を発端に、ここにきて障害を頻発させている。業界の常識からすれば、皮肉の一言では片付けられない「異常事態」といえる。
この原因の一端がスマートフォンの普及爆発にあることは、本稿でもこれまで明に暗に触れてきた。特に1月末の首都圏での障害では、単にトラフィックの増大だけが課題なのではないということがはっきりした。メールのような間欠的な接続ではなく、VoIP(音声サービス)やWebサービス、ゲーム等、連続的な接続を求めるサービスが、台頭しつつあるのだ。
通信インフラの側からすれば、従来のフィーチャーフォンとは異なる使われ方が広がっているということである。クルマにたとえるなら、保有者が増加しただけでなく、クルマの多機能化や安全性能の向上により車重や車幅が増加したため、道路の幅やカーブの角度、あるいはアスファルトや橋梁の強化といった「道路の基本性能」の総合的な向上が求められている、ということを意味する。
スマートフォン時代の通信インフラは、基地局の容量(基地局1基が同時に対応できる端末の数)はもちろん、パケット交換の処理能力もより高いレベルが求められる。少なくとも単に「車線」を増やすだけでは、間違った設備投資となってしまう。NTTドコモの接続障害は、そのことを如実に表している。