ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
出口治明の提言:日本の優先順位

日本の観光産業は
大きな可能性を秘めている

出口治明 [ライフネット生命保険(株)代表取締役会長]
【第38回】 2012年2月21日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

先日の当コラムで、「フランスを真似して出生率を上げよ」と提言したが、実はもう一つ、フランスを真似してほしいことがある。それは、(特に外国人に向けた)観光産業の振興である。観光産業のポテンシャルは、私達が普段考えている以上に大きいものがあるのだ。

フランス並みに外国人訪問者が増えれば、
GDPは4%アップする

 2010年の世界の外国人訪問者数のトップ5は次表の通りであるが、フランスが断トツの1位を占めている。


   外国人訪問者数(①) 人口(②) ②/①
フランス     7,680       6,279 1.22
アメリカ     5,975     31,038 0.19
中国     5,567   134,134 0.04
スペイン     5,268       4,608 1.14
イタリア     4,363       6,055 0.72
日本(参考)        861     12,654 0.07
(単位:万人、出所:日本政府観光局JNTO) 

 

 しかも、フランスやスペインは国民数(定住人口)を1、2割も上回る訪問者を受け入れているのである。仮に、わが国がフランス並みに外国人を受け入れたとすれば、訪問者が1億4577万人、純増することになる。観光庁の調査によれば、訪日外国人の旅行消費額は1人当たり平均13.3万円(2010年)あるので、フランス並みに訪問者が増えれば、消費が19.4兆円上乗せされることになる。

 2010年のわが国のGDPは総額で481.8兆円であったので、この19.4兆円は実にGDPを4%押し上げる効果を持っている。観光産業のポテンシャルの大きさが、容易に理解されよう。

 しかも、外国人の訪日の主目的は「日本食を食べること」と「ショッピング」が常にトップ2を占めている。日本食の国際競争力の強さはミシュランガイドでも確証されており(3つ星レストランの数では1位が東京、2位がパリ、3位が大阪)、また、ショッピング意欲が旺盛な中国人旅行者(外国人訪問者の買物代平均4.13万円に対して、トップの中国人は8.68万円、次いでロシア人6.84万円。観光庁2010年調査)にとって、化粧品やカメラ、家電製品などのわが国の優れた消費財が競争力を失うことは、当面は考えにくい。このように考えると、わが国の観光産業は大化けする可能性を秘めているのではないか。

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

出口治明 [ライフネット生命保険(株)代表取締役会長]

1948年、三重県美杉村生まれ。上野高校、京都大学法学部を卒業。1972年、日本生命保険相互会社入社。企画部や財務企画部にて経営企画を担当。生命保険協会の初代財務企画専門委員会委員長として、金融制度改革・保険業法の改正に従事。ロンドン現地法人社長、国際業務部長などを経て同社を退職。その後、東京大学総長室アドバイザー、早稲田大学大学院講師などを務める。2006年にネットライフ企画株式会社設立、代表取締役就任。2008年に生命保険業免許取得に伴い、ライフネット生命保険株式会社に社名を変更、同社代表取締役社長に就任。2013年6月24日より現職。主な著書に『百年たっても後悔しない仕事のやり方』『生命保険はだれのものか』『直球勝負の会社』(以上、ダイヤモンド社)、『生命保険入門 新版』(岩波書店)、『「思考軸」をつくれ』(英治出版)、『ライフネット生命社長の常識破りの思考法』(日本能率協会マネジメントセンター)がある。

ライフネット生命HP

 


出口治明の提言:日本の優先順位

東日本大地震による被害は未曾有のものであり、日本はいま戦後最大の試練を迎えている。被災した人の生活、原発事故への対応、電力不足への対応……。これら社会全体としてやるべき課題は山積だ。この状況下で、いま何を優先すべきか。ライフネット生命の会長兼CEOであり、卓越した国際的視野と歴史観をもつ出口治明氏が、いま日本が抱える問題の本質とその解決策を語る。

「出口治明の提言:日本の優先順位」

⇒バックナンバー一覧