最近、日本でも女性のセクハラ問題や働き方を巡り、さまざまな報道があって関心が高まっているようだ。隣国の中国ではどうなのだろうか。日本の女性の地位や働き方について、中国在住17年目の筆者が日本の商社ウーマンだった自らの経験を踏まえて考えてみた。(作家 谷崎 光)
若い女性に仕事が
原因の自殺が増えている
ニーハオ、北京在住の作家の谷崎光(たにざき・ひかり)です。
日本に一時帰国して参加した同窓会で、友達のお嬢さんの話になった。確か学生時代に留学し、それから東京で広告関係に就職したはずである。
「お嬢さん、元気でやってる?」
「それがね。心配になって見に行ったら、毎日、会社の床で寝ているような生活で。もうほとんど精神的にもやられてね。辞めたのよ」
「あー、あの会社ね。あんなのマジメにやったら死ぬよ。いいかげんでちょうどいいのに」
「……娘はできないわ。家ではウソついたりしたらシバく、ぐらいの勢いで育てたからなぁ」
友人はご主人ともに、“お堅い仕事”で、誠実に生きてきた人である。
“まじめに”“一生懸命に”“誠実に”
古き良き日本の美徳で仕事をすると、男でも過労死するのが日本だが、若者、特に「女性活躍」のかけ声のもとで、女性に過酷な仕事現場が広がっている。